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元始種になっちゃったら氷結種に恋をした  作者: 阿川時定


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2/8

第2話

 目の前の席の男子の名前を、石山(いしやま)ヒビは人伝に知った。

 鈴岡(すずおか)レイ。

 彼は氷結種という種族らしい。

 ヒビはこの魔導(まどう)学園に来てから、様々な準備を整えた。着替えやら生活用品、勉強道具やら。だが、彼と話すタイミングだけは合わせることができずにいた。

 なかなかきっかけがない。ならどうするか。


 ヒビはどうして気になるのかということも考えた。

(あれかな、目が合った時に微笑(ほほえ)んでくれたからかな)

 レイの白髪(はくはつ)は目立つ。ほかにも緑色や赤い髪の者もいるにはいるが、このクラス、1年A組では白髪はレイだけだ。


 それだけではなく、レイは、まるで額縁に飾られたように美しく整っている。彼は高身長という部類にギリギリ入るくらいで太ってもいない。特徴は首から上に凝縮されている。

 少なくともヒビにはそう見えるのだ。

(え、あの態度と見た目だけで? あたしチョロ過ぎない?)


 ただ、考えてみれば、接点こそ席が前と後ろということしかないものの、様々なことがあったのだ。プリントをそっと後ろに回す気遣いをされたこと。特定のグループとの会話の際の笑顔。

(最初はちょっと気になっただけだったけど)

 態度で気になる度合いが増した部分は大きい。と思い直せたことをヒビは喜んだ。


 そんな風に考えている時だった。

(あっ)

 レイの友人が、ノートと一緒に脇に挟んでいた筆箱を、ずり落としてしまった。廊下でのことだ。

「――っとぉ」

 それをレイが見事に捕まえた。

「ありがと」

「あぁうん」

 その、こんなの何でもない、という感が、またヒビには刺さった。

 瞬間、教室のドアを開けたばかりの位置にヒビがいたせいか、ドアから木製の花が咲いた。

「ね、これ突然出てきたよ」

と、そばの女子に言われて気付いたヒビは、

(戻れ戻れ)

と、ドアに向けて念じ、そして――

 戻せた。

 戻せたら、ヒビはほっと一息()いた。


 移動先の教室から自分たちのクラスに戻ってきた時のことだった。ヒビも含め、皆が席に戻る。時間ギリギリまで自席から離れている者もいたが、レイはそうしなかった。

 そして次は教室を移動しない。

 当然、次の授業ではレイは目の前にいる訳で。

 その背中が大きく感じる。

(やばい、本当に。刈り上げた所の上のサラヘアも何)

 魔導種になってしまった自分の力に慣れなければならない中で、ヒビは想いを確かめた。机に木製の花が咲き、それがまた無い状態へと戻っていった。


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