乱入者(後半)
青年は翔を隠すように前へ進み出ると、静かに手をかざした。
――瞬間。
複数の攻撃が、空中で動きを止めた。
「……っ!?」
火炎は燃え上がったまま空中で止まり、
氷槍は目前で静止し、
雷撃は空中で激しく弾け続けていた。
(……は?)
「攻撃が……止められてる……?」
「馬鹿な……!」
その場に動揺が走る――。
青年は静かな表情のまま、
かざしていた手をゆっくりと閉じる――。
その瞬間。
全ての魔法が、音もなく掻き消えてしまった――。
静寂が落ちる。
「なっ……、なんだよ、今の……」
誰かの震えた声が漏れる。
すると、青年は静かに攻撃者達へ視線を向けた。
「いやいや……」
困ったように笑う。
「そんな撃ち方をして、マスターが怪我でもしたらどうするつもりですか……?」
だが、未知への焦りに飲まれた隊員たちへ、
その言葉は届かない。
彼らが再び術式を展開し始めた時、
青年の目付きが、わずかに鋭くなる。
――今度は空気が、沈んだ。
「だから…、
そういうことするの、やめてもらえます?」
柔らかな声が、
わずかに冷えて沈む。
食堂全体へ、重圧が落ちる。
「っ……!?」
誰も、次の術式を発動できない。
ただ言葉を向けられただけなのに、
本能が、これ以上触れるなと警鐘を鳴らしていた。
「オレ、マスターが怪我したら困るんですよね……」
青年は、また困ったように笑う。
いつの間にか、
この場の主導権は青年へ移っていた――。




