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今日の仕事は(1)


【ダンジョン内部 低層一階】


 ゲートを進んでダンジョンへ入ると、

 相沢がタブレット端末を取り出し始めた。


「じゃあ、始めますか」


 さっきまでの軽い雰囲気は消え、

 相沢の表情が引き締まったのが分かった。


「今日も結晶の管理業務からです」


 そう言ってタブレットを操作しながら、

 地図を表示する。


「担当はこの三区画です」


「……昨日よりは広く無いんだな」


「でもその代わりに、

 一つ一つ細かく見ていきます」


 相沢は棚の一つを目指して歩き出した。


「昨日もやりましたけど、

 結晶って毎日少しずつ状態が変わるんですよ」


 結晶棚の前で足を止める。


「例えば、この結晶です」


 そう言って結晶をライトで照らし始めた。


「保有魔力も成長速度も正常です。

 でも良く見ると少しだけ濁ってますよね」


 言われてみると、

 たしかにほんの僅かだが透明感が違うように見えた。


「こういう小さな違いが、

 品質異常の前兆だったりします」


 相沢はライトのスイッチを切り、こちらを向く。


「なのでこれからは数字だけじゃなくて、

 色や透明度、表面の傷なんかも毎日確認していきます」


「なるほど」


 相沢はライトを翔へ差し出した。


「じゃあ俺は横で見てるので、

 ここからは先輩がやってみてください」


「分かった」


 昨日教わったことを思い出しながら、

 結晶と数値を一つずつ確認していく。

 そしてしっかりと結晶を観察する。


 途中で相沢は余計な口を挟まないが、

 間違えそうな時だけ短く助言をくれた。


 教える。

 任せる。

 必要な時だけ手を貸す。


 その距離感が絶妙だった。


 なるほど、

 黒岩部長が褒めていたのはこういうことか。


 そんなことを思いながら、

 エリアの奥へと足を進めていった。

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