世界征服
ダンジョン管理区域へ向かって、
センター内を歩いていく。
先頭を歩くのは相沢。
その後ろを、
翔とリオンが並んで歩いていた。
「そういえば、先輩」
相沢が歩きながら振り返る。
「俺、聞きたいことがあったんですけど」
「ん、何だ?」
「……結局のところ」
一拍置いて。
「先輩って、世界征服をするんですか?」
「……は?」
思わず足を止める。
「いや、社内じゃ結構有名な話じゃないですか」
「……え?、何の話がだよ?」
「だって」
相沢が肩をすくめる。
「先輩の召喚獣の、リオンさんでしたっけ?」
相沢がリオンに視線を向ける。
「東和の先端技術を集めても、
止められなかったそうじゃないですか」
そしてニヤニヤした顔を翔へと向け直し。
「だから先輩がその気になれば、
世界征服くらい簡単に出来るんじゃないかって……。
みんなが気になってるんですよ!」
「なんでだよ……!」
思わずツッコんでしまった。
「そもそも、オレは普通の会社員なんだぞ」
「……そうかもですけど」
相沢が真面目な顔で続ける。
「リオンさんという力を手にしたからこそ、
急に野心が芽生えてきたりとか……」
「そんなものは芽生えないからな!」
即答するが。
「えー……」
相沢は、なんだか少しだけ不満そうだった。
そして後ろを歩くリオンへまた振り返る。
「リオンさんは、
世界征服に興味ないんですか?」
その質問にリオンは答えず。
一度だけ、翔へ視線を向けた。
「マスター?」
「……何だよ?」
「やっぱり、世界征服をご希望でしたか?」
「ご希望してない!」
即答すると、
リオンは静かに頷く。
「承知しました。
……では計画は保留としておきます」
「なんの計画だよ!」
思わず、またツッコんでしまった。
「もしマスターが
急に世界征服をしたくなっても、
すぐに対応出来るよう
簡単な計画だけは立ててあります。」
「……そんな計画、いらない。」
もう、ツッコむ元気も無くなってきた。
「……なんか」
相沢が目を輝かせる。
「リオンさんって、出来る男って感じですね!」
「マスターの召喚獣として、当然の嗜みです」
リオンは胸を張って答えた。
「うわぁ!、マジでカッコいいです!」
相沢が目を輝かせる。
「リオンが調子にのるから褒めるなよ……」
……何故か。
相沢まで、興奮し始めてしまった。
そんな他愛ない話をしているうちに、
ダンジョン管理区域の入口が見えてきた。
相沢が足を止める。
「……さて」
表情を切り替える。
「ここからは、
仕事モードでお願いします」
さっきまでの軽い雰囲気は消え、
教育係としての顔に戻っていた。
翔も気持ちを切り替え、
その後ろを歩き始めた。




