はじめてのダンジョン(4)
黒岩部長が、近くの棚へ向かって歩いていく。
「まあ、
見てるだけじゃつまらんだろ」
そう言って棚の一角へ近づいた。
そこでは拳大ほどの淡い青色の結晶が輝き、
細い配管が何本か繋がっていた。
「低層素材は、
こうやって管理しながら培養している」
「魔力のある環境を利用して育ててる、
みたいな感じですか?」
「まあ、そんな感じだな」
そう言って、
黒岩部長が結晶の根元を指差す。
「成熟したら回収する。
今日は、その練習もするからな」
黒岩部長が、
腰のカバンから小型の工具を渡してくる。
「まず根元の固定具を外す。
で、このラインより下を持て。
上は魔力が溜まってるから触るなよ」
そう説明しながら、軽く結晶を指差す。
「間違っても、雑に触るんじゃねえぞ。
魔力が不安定な結晶だと、簡単に爆ぜるからな……」
「……え、爆ぜるんですか?」
「ああ、火傷くらいは覚悟しとけ」
その言葉に、思わず工具を持つ手に力が入る。
すると。
結晶をじっと見ていたリオンが口を開いた。
「マスター。
その結晶でしたら、問題なさそうです
安定しています。」
その言葉に、
黒岩部長が少し驚く。
「お前。
そんなことまで分かるのか」
「……ある程度でしたら」
リオンが、小さく頷く。
言われた通りに、固定具を外し。
恐る恐る、結晶へ触れていく。
すると。
すぐ後ろから、
リオンの視線をひしひしと感じ始めた。
「……ちょっと、見すぎじゃないか?」
「……危険そうなら、すぐに止めないとですし」
黒岩部長が肩を揺らす。
「お前、心配しすぎだろ……」
「……そうでしょうか?」
リオンは、本気で分かっていない顔をした。
正直。
少しだけやりにくい気がした。




