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はじめてのダンジョン(3)


 黒岩部長が、呆れたように頭を掻く。


「……強いのは分かったがな」


 そう言いながら、リオンを見る。


「高城があんな訳の分からん魔法、

 使えるわけがないだろ……」


「え?」


「もっと『ここが弱点ですよ』みたいに、

 分かりやすく倒せ。

 高城の教育にならんだろ」


 リオンが、少しだけ目を丸くした。


「……なるほど」


 少しだけ考えて、

 真面目な顔で頷く。


 そんなリオンに対して、

 黒岩部長が軽く肩を竦めた。


「なんなら高城に教えるつもりで、

 一緒に討伐してくれても構わんからな」


「たしかに、その方が良さそうですね」


 いやいや、ちょっと待てよ……。

 討伐の教育なんて御免だからな……!


「リ、リオン……。

 オレのことは気にしないで、

 どんどん倒してくれていいんだからな……」


 急に焦りだした翔の様子に、

 リオンが少しだけ困った顔をする。


「……それは、難しいですね」


「え?」


「マスターには、

 これから色々と覚えて貰わないと

 いけなさそうですし……」


「そんな……!」


「でも、

 危なそうならすぐ助けますから。

 ……だから、そんな顔しないで下さいね?」


 そんなやり取りに黒岩部長が少し笑い始める。


「しっかりダメが言えるなんて、

 リオンもなかなか物分かりが良くなって

 きたじゃないか」


 そう言った部長は、

 なんだか楽しそうだった。



 そんな話をしながらしばらく進むと、

 急に視界が開け始めた。


「……広い」


 洞窟の中とは思えないほどに、

 整備された空間が広がっていた。

 

 歩きやすく整備された空間には、

 金属棚がずらりと並んでいる。


 その中には、色とりどりの結晶。


 赤、青、透き通ったもの。

 ぼんやりと、光を帯びたものまである。


 そしてそれぞれの結晶には、

 何かの配管が繋がっていた。

 一定間隔で淡い光が流れている。


「……何ですか、あれ」


 なんというかダンジョンというよりも、

 何かの製造工場のようだった。


「ここが、低層の資源管理区画だ」


 黒岩部長が言う。


「低層は、

 こういう素材の培養と回収がメインだ。

 ゲームみたいなドキドキの大冒険ばかりが

 仕事じゃないってことだな」


「……なんか。

 ファンタジー感が急になくなった気がします」


 黒岩部長がニヤリと笑う。


「夢、壊れたか?」


「……結構。壊れたかもしれないです」


 そう言って、翔が管理区画を眺めていると。


「まあ、そんなガッカリすんな」


「え?」


「すぐにとは言わねえが、

 まだ、お楽しみは残してあるからな」


 そう言って楽しそうにしている黒岩部長に、

 翔は、何か嫌な予感がよぎった気がした。

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