はじめてのダンジョン(2)
暗がりの奥で、何かがぬるりと動いた。
「……え」
現れたのは、半透明の青っぽい塊。
ぷるぷると全身が揺れている。
「……スライム?」
思わず声が漏れる。
なんだ、
ゲームでよく見るアイツじゃないか。
少しだけ肩の力が抜けてしまったが、
腰のホルダーに収まっていた
支給品のナイフへなんとなく手を伸ばす。
「……オレも、これならいけそうかも」
「おい」
黒岩部長が、少しだけ呆れた顔をした。
「リオン」
「はい」
次の瞬間。
ぐい、と肩を掴まれた。
「え?」
振り向くと、
すぐ後ろにリオンが立っていた。
「ここは低層なので、
まだ大丈夫だとは思いますけど……」
リオンが、少しだけ真顔になる。
「これから下層でも同じ感覚だと、
普通に死にますからね……。」
「……え?」
「そいつも、
服くらいなら簡単に溶かしてきますよ」
「ウソだろ!?」
慌てて後ろへ下がる。
そんな翔を見て、
黒岩部長が肩を揺らして笑った。
「ゲーム感覚で行こうとするな」
「いや、スライムですよ!?」
「実際に生きてる魔物だ。
勝手な思い込みで判断すんな」
そんなやり取りの隣で。
リオンが、小さく息を吐く。
「少し、下がってて下さいね」
そう言って一歩前へ出たその瞬間、
リオンの手から淡い光が走った。
次の瞬間。
スライムが、真っ二つになる。
あっさりと、
消えるように崩れ落ちていった。
「……え?」
思わず声が漏れる。
リオンがこちらへ振り返る。
「……ダンジョンでは、
油断だけはしないで下さいね。マスター?」
正直。
ダンジョンに入る前より、
怖くなってしまった。




