掃除のあとは…
片付けを続けていくと。
気付けば、外はすっかり暗くなっていた。
「……終わった」
思わず、息が漏れる。
部屋は、
朝とは見違えるほど綺麗になっていた。
床が見える。
棚も整理されている。
よく分からない山も、かなり減った。
「だいぶ、片付きましたね」
リオンが、
部屋を見回しながら言う。
「……半分くらいお前のおかげだな」
「半分ですか?」
「八割かも」
そのやり取りに、
リオンの尻尾がわずかに揺れた――。
そんな様子を眺めながら。
「晩飯、どうするかな……」
疲れた頭で考える。
正直、作る気力はもうない。
「何か、作りましょうか?」
「いや。
今日はもう、楽する……」
スマホを取り出す。
「ピザでいいか?」
「ぴざ?」
少しだけ、不思議そうな顔をした。
◇
しばらくして、インターホンが鳴る。
「来た」
玄関で支払いを済ませると、
受け取った箱を持ってリビングへもどる。
テーブルに置かれた箱を見ながら、
リオンが少し目を丸くした。
「これが、夕飯です?」
「疲れた時は、
こういうのが旨いんだよ」
箱を開けた瞬間。
ふわりと、
チーズの匂いが広がった。
「……おお」
匂いにつられて、
リオンの耳がぴくりと立つ。
「熱いから、気をつけろよ」
適当にテレビをつけながら、
二人でソファへ座る。
テレビでは、
休日のバラエティ番組が流れていた。
「いただきます」
「……いただきます」
一口。
「おいしいです……」
珍しく、
少しだけ声が弾んでいた。
「だろ?」
その日。
リオンはまた一つ、
現代の味を覚えてしまったようだ。




