掃除をしよう
「少し、掃除でもしませんか?」
そう言われて。
部屋の隅、
積まれた荷物の山を見る。
「そうだな。
少し、片付けるか……」
その言葉に。
リオンの耳が、ピクリと揺れた。
◇
食後の休憩を挟み、
部屋の片付けが始まった。
いざ始まってみると。
思った以上に、
リオンの動きが早かった。
「これは、こっちですね」
棚を整え。
積まれていた物を分け。
迷いなく整理していく。
「……お前、手際いいな」
リオンの隣で、
一緒に手を動かしていると。
「マスター、これはどうします?」
差し出されたのは、
何に使うかも分からないコード類。
「ん? 使うやつだな」
「何にです?」
「……それは分からんけど」
「分からないんですか?」
「でも、使う気がする……」
少し間。
「では、処分で」
「待て待て待て」
反射で止める。
「ほら。
無かったら困るかもだろ?」
「ここ一年で使いました?」
「……使ってない」
「なら、いらないです」
判断が早い。
「お前、容赦ないな……」
「マスターが取っておきすぎです」
言い返せなかった。
そして。
リオンの仕分けは、止まらない。
「これはいります?」
「いるな」
「これは?」
「それもいるな」
「……これは?」
「たぶんいるな」
気付けばリオンの横へ、
“保留”の山が出来始めていた。
じっとりとした視線が向けられる。
「……多くないですか?」
「だって、必要になるかもしれないだろ」
「全部ですか?」
「たぶんな……」
少し間。
それから。
リオンが、小さく息を吐いた。
「マスター」
「ん?」
「“たぶん”禁止です」
そう言うと。
リオンは、保留の山へ手を伸ばす。
そして。
容赦なく、
ゴミ袋へ詰め込み始めてしまった――。




