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掃除をしよう

「少し、掃除でもしませんか?」


 そう言われて。


 部屋の隅、

 積まれた荷物の山を見る。


「そうだな。

 少し、片付けるか……」


 その言葉に。

 リオンの耳が、ピクリと揺れた。



 食後の休憩を挟み、

 部屋の片付けが始まった。


 いざ始まってみると。


 思った以上に、

 リオンの動きが早かった。


「これは、こっちですね」


 棚を整え。


 積まれていた物を分け。


 迷いなく整理していく。


「……お前、手際いいな」


 リオンの隣で、

 一緒に手を動かしていると。


「マスター、これはどうします?」


 差し出されたのは、

 何に使うかも分からないコード類。


「ん? 使うやつだな」


「何にです?」


「……それは分からんけど」


「分からないんですか?」


「でも、使う気がする……」


 少し間。


「では、処分で」


「待て待て待て」


 反射で止める。


「ほら。

 無かったら困るかもだろ?」


「ここ一年で使いました?」


「……使ってない」


「なら、いらないです」


 判断が早い。


「お前、容赦ないな……」


「マスターが取っておきすぎです」


 言い返せなかった。


 そして。


 リオンの仕分けは、止まらない。


「これはいります?」


「いるな」


「これは?」


「それもいるな」


「……これは?」


「たぶんいるな」


 気付けばリオンの横へ、

 “保留”の山が出来始めていた。


 じっとりとした視線が向けられる。


「……多くないですか?」


「だって、必要になるかもしれないだろ」


「全部ですか?」


「たぶんな……」


 少し間。


 それから。

 リオンが、小さく息を吐いた。


「マスター」


「ん?」


「“たぶん”禁止です」


 そう言うと。


 リオンは、保留の山へ手を伸ばす。


 そして。


 容赦なく、

 ゴミ袋へ詰め込み始めてしまった――。

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