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お風呂上がりに ~Sideリオン~


 入浴を終え。


 尻尾の匂いを気にしながらも。

 髪を軽く拭きつつ、リビングへ戻る。


 すると。

 ソファでは――。


「……寝てる」


 翔がそのまま寝落ちしていた。


 テレビは、

 まだ小さく音を流している。


 ソファへ近づき。

 少しだけ、身を屈めた。


「マスター?」


 反応はない。

 完全に寝ているようだ。


 その様子に、

 呆れたように少し息を吐く。


「先に寝ていてください、

 とは言いましたけど……」


 なんだか

 満足そうな寝顔をしていて。


 少しだけ、口元が緩む。


「……相変わらずですね」


 ふと、

 昔を思い出す。


 あの頃も。


 マスターはいつも雑なくせに。


 その癖、

 妙なところで気にかけてきた。


 寒くないか。


 ちゃんと食べたか。


 危なくないか。


 本人は。


 きっと、

 覚えてもいないんでしょうけど。


 ――だから、困るんですよね。


 また小さく、息を吐く。


「……今さら、

 思い出してどうするんですか」


 視線を落とすと。


 まだ少し湿ったままの

 尻尾が目に入った。


「ああ、乾かさないと」


 指先へ魔力を集めると、

 淡い光が尻尾を包み。


 一瞬で、ふわりと乾いた。


 ついでに。


 テーブルへ置かれたままのコップ。


 適当に置かれた脱いだ服。


 少しだけ乱れた部屋。


「……仕方ない人です」


 小さく苦笑して、

 指先を軽く動かす。


 淡い光が走り。


 散らかっていた物が、

 ひとりでに片付いていく。


 そして。

 再び、ソファへ戻った。


 翔の顔を覗き込む。


「マスター。

 ベッドで寝ないとダメですよ?」


「……ん」


 薄く、目が開く。


「リオン……?」


「はい。

 変なところで寝ると、

 身体が痛くなりますよ?」


「んー……」


 少しだけ、眠そうに眉を寄せる。


「……あと五分」


「ダメです」


 即答だった。

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