料理をしよう(2)
台所へ立つと、
リオンが買い物袋の中を覗き込む。
「食材、どれを使うんです?」
「適当でいいだろ」
「え……」
また少しだけ、
難しそうな顔をされてしまった。
「そんな適当で、良いんですか……?」
「気にしすぎだって」
冷蔵庫から肉を取り出しながら。
そう言って、翔は少し笑う。
「まあ。
ちゃんとやる人は、
やるみたいだけどな……」
「……つまり。マスターは、
あまりちゃんとしてないってことですね」
「……うるさいって」
そんな翔の様子に、
リオンが面白そうに口元を緩める。
「ほら、野菜切るぞ」
「切るのは、一応できます」
「一応?」
少し疑問に思いながら、包丁を渡す。
危なっかしいかと思ったが――。
「……うまっ」
妙に手際がいい、
少し硬い動きではあるが。
キャベツも、人参も。
綺麗に切り揃えられていく。
「料理、結構やるのか?」
「いえ、あまり……」
「え、じゃあなんでそんな上手いんだよ」
少しだけ、考える。
「……刃物は、慣れてますので」
「……それ、
料理向きの理由じゃない気がするんだよな」
その言葉に。
リオンは少しだけ
満足そうな顔をしながらも、
「次、なにします?」
「肉炒めて、野菜入れて――」
説明しながら、
フライパンへ火を入れる。
「これ、熱いから気を付けろよ」
「はい」
肉の焼ける音。
野菜の匂い。
最後に麺を入れて。
「で、ここにソース」
翔が、少し多めにソースを回し入れる。
「そんなに入れるんです?」
「焼きそばは、
ちょっと濃いくらいがうまい」
そのまま。
ソースを絡めるように、もう一度炒める。
甘辛い匂いが、少しずつ広がっていく。
「……いい匂いです」
「だろ?」
「意外と、手軽なんですね」
「慣れれば、もっと楽だぞ」
皿へ盛り付けると、
少しだけ形は崩れていた。
出来上がった焼きそばを見て、
リオンが表情を緩める。
「……食べるの、楽しみです」
その言葉に、
翔は少しだけ笑った。




