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買い物しよう(フードコート)

 昼時。


 フードコートは、

 休日らしい賑わいだった。


 人の話し声。


 皿の触れ合う音。


 そして、

 食べ物の匂いが、

 あちこちから混ざって流れてくる――。


 席を探しながら歩いていると、

 少しずつ視線が集まりはじめた。


 耳に尻尾、

 そして長身。


 やはり、

 目立たない方が無理だった。


「……やっぱり、

 ここでも見られてますね」


 リオンが、

 少し声を落とした。


「まあ、

 そりゃ見るだろ。

 お前目立つし。」


「ですよね……」


 少し困ったように笑う。


「でも、

 マスターは

 朝より平気そうですよね」


「……少しだけどな」


 翔は、

 空いている席を探しながら言う。


「……朝ほどは

 気になんなくなった」


「慣れるの、

 早くないです?」


「まあ、

 もう半日一緒にいるしな」


 そう言われ。


 リオンは、

 小さく息を吐いた。


「それは、

 そうかもしれないですけど……」


「で、何食う?」


 そう聞くと。


 リオンの視線が、

 ラーメン屋で止まった。


「これ、気になります」


「ラーメン?」


「匂い、一番強いので」


「おお……、

 野性って感じだな」


「失礼ですね」


 リオンが、少しだけ笑う。


「じゃあ、野性に従うか」


 そう言って。


 翔は、注文列へ向かった。


-------------------------


 数分後。


 トレーを持って、席に着く。


 湯気の立つラーメンが、

 テーブルに並んだ。


 リオンは、少し目を細める。


「匂い、すごいですね」


「だろ」


「思ってた以上に、攻めてます」


「なんだよそれ」


 少しだけ、

 空気が緩む。


「……いただきます」


「いただきます」


 箸を取る。


 一口。


「……美味しいですね」


 もう一口。


「なんか、ちゃんと美味しいです」


「ちゃんと?」


「匂い強かったんで、勢いだけかと」


「失礼だな」


「でも、これは好きかもしれません」


「ハマるなよ」


「危ないやつです?」


「財布と健康に来る」


「なるほど……」


 少し考えて。


「じゃあ、ほどほどにします」


 ――とは言うものの。


 気付けば、

 スープは

 ほとんど残っていない。


 どうやら、

 かなり

 気に入ってしまったらしい。

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