落ち着かない部屋
落ち着かない。
テレビはついている。
なのに。
何の番組を流しているのか、
まるで頭に入ってこなかった。
翔はソファへ座ったまま、
ちらりと視線を横へ向ける。
そこには。
部屋の中を見回している、
リオンの姿があった。
照明。
棚。
テレビ。
キッチン。
物珍しそうに眺めながら、
尻尾がゆるく揺れている。
生活感しかない自分の部屋に、
リオンの小綺麗な姿が妙に浮いていた。
いつもの部屋のはずなのに、
やっぱり、妙に落ち着かない。
(意味わかんねぇ……)
「マスター?」
「……なんでもない」
翔は視線を逸らしながら答えた。
すると。
「……やっぱり、
落ち着きませんか?」
不意に、
そんな声が聞こえた。
顔を上げると。
リオンが、
こちらを窺うように見ていた。
「急に一緒に住むことになりましたし。
オレ、
押しかけたみたいになってますよね」
「いや、
そういう訳じゃ――」
翔は言葉に詰まる。
嫌な訳じゃない。
ただ、
全部が急すぎただけだ。
上手く説明できないまま黙り込むと。
リオンの耳が、
少しだけ伏せられる。
「……すみません。
ちょっと、
浮かれてました」
尻尾まで、
しゅんと垂れ下がっていた。
(うわ、
なんかすげぇ罪悪感……!)
翔は思わず頭を掻いた。
そして。
「……あーもう!」
勢いよく立ち上がる。
「とりあえず、
めしにするか!」




