いっしょに帰ろう
重苦しい沈黙が続く。
やがて。
白髪の男が、
ゆっくりと口を開いた。
「……召喚体リオンについては、
現時点で敵対意思なしと判断する」
その言葉に、
翔は僅かに肩の力を抜いた。
(お、終わった……?)
だが。
「ただし、
我々資源調達部による
監視対象として扱うこととする」
即座に続いた言葉に、
翔の表情が引きつる。
「高城くん」
鋭い視線が向けられる。
「召喚者である以上、
今後の管理と行動把握は、
君にも任せることになる」
(責任って言われても……)
これからどう管理しろというのか。
翔が言葉に詰まっていると。
「……でしたら」
リオンが、
自然に口を開いた。
「マスターと
一緒に住まわせてもらえませんか?
せっかく契約も結んだことですし」
会議室の空気が、
一瞬だけ止まった。
(いや急に何言い出してんだよ!?)
白髪の男が、
僅かに目を細めた。
「……理由は?」
「離れているより、
監視もしやすいでしょうし」
そこで一拍置いて。
「オレとしても、
その方が助かります」
(いや乗り気すぎるだろ……!)
翔の困惑をよそに。
数人の隊員が、
小声で何かを交わす。
白髪の男は、
リオンを無言で見据えた。
やがて。
「……監視効率としては、
理にかなっている」
「いや待ってください!?」
翔は思わず立ち上がった。
「なんで一緒に住む流れになってるんですか!?」
だが。
「彼の生活拠点は、
高城くんの自宅とする」
淡々と告げられる。
「…………え?」
「召喚者と召喚体を
分離する方が危険性が高い。
異論は無いな?」
こちらの返答を待つことなく。
「では、
本件の事情聴取を終了する。
今後の処遇については、
追って連絡する。以上」
「ま、待って下さい!
オレの意思は……!?」
しかし。
その抗議を気にする者は、
誰もいなかった。
翔が頭を抱えていると。
「それでは」
すぐ近くから、
どこか弾んだ声が聞こえた。
「帰りましょうか、マスター」
顔を上げると。
「もう、
いつでも帰れますよ」
そう言って、
リオンが隣で待っていた。




