5ハンティング
ぐしゃっ! ボタボタボタ…
「お…おぉおお! リンゴ握りつぶせた! さすが握力115キロ!」
「……ちょっと」
「んあ? おはよう姉ちゃん。 どした?」
「床」
「床?」
「あんたリンゴの汁が飛び散ってるじゃない! さっさと綺麗になさい!」
「はぃぃいい!」
握力上がったらリンゴ潰してみたいじゃないか…男なら鍛えたらチャレンジするはずだ。
「さっさとなさい!」
「はぃぃいい!」
最近姉が怖いです。
「さて、床も綺麗にしたし…今日は何すっかなー? ジムも無いし。 朝からガイアースって気分でもないしなー」
トゥルルル…トゥルルル…
ん? 賢治か。 前も言ったが高校で同級生だったやつだ。
「わーたーしーだっ!」
「…お前の息子は預かった」
「朝からピンコ立ちしとったわ!」
「はは。 カイ、スロット行くから一緒に行かね?」
「アホか。 失業保険貰ってる身だから行けるか!」
「あー…そっか。 なら俺の代打ちしてよ。 今日オープンの店あんだって」
「賢治…お前そういうのは前の日に言っとけよ…。 代打ちかー…ならいいぞ」
「よしよし。 んじゃ1回俺んちまで来てくれ。 そっから俺の車だすから」
「おっけー」
そう言えば賢治…この間休みじゃなかったか? まぁいい。 ヴァリオス発進!
「うわ…賢治。 人多いぞ」
「んなもんだろ。 『押す町長!3』狙いだからな」
「任せろ! 頂きマッシュに即入れだ!」
んで入店。 ダッシュで台を確保しに行く人達…こいつ等仕事はどうした! 人の事は言えんがな!
「っし! 台確保ー! 入金!」
カタカタカタ… 賢治は離れた所で打ってんな。 よーし!やるぞー賢治の金で!
タンタンタン。 ドルル… タンタンタン。チュピーン!
『頂きマーッシュ!!』
「ぬわ! 前兆なしの直撃か!? 幸先いいぞ」
『右! 左! うぉりゃああ! 中! 右! うぉりゃああ!』
ふはは! モリモリ増えてくぜ! 脳汁めっちゃでる!
「カイ…帰るか…」
「ああ…帰るか…」
調子いいのは朝一だけでボコボコにやられたよ…みんなもスロットには気をつけろよ!
「カイ、鳳凰亭でラーメン食ってくか」
「いいねー。 俺こってり大盛りな」
姉ちゃんに晩飯いらないって電話してラーメン屋でラーメンを食べる。
「ズルズルズル…うめぇえ! 鳳凰亭のこってりは最高だな」
「ズルズルズル…だな。 そうだカイ。 お前ボクシングやってんだったよな?」
「ん? ああ。 っても運動不足解消の為にやってんだけどな」
「そっかそっか。 なら…カイの好きそうな良い所あんだよ。 行くか?」
「何か言い方が怪しいな…で、どんな所?」
「それは行ってのお楽しみって事で。 あー、場所は市内な」
ラーメンを食べ終えた俺達は市内へと車を走らせた。 目的地の近くに着いたのはラーメン屋を出てから大体1時間後だった。
「駐車場はここが一番近いんだ。 っと、ここから歩いて10分くらいの場所だ」
「賢治…まさか風俗じゃないだろうな。 クソアマに浮気されたからそんな気分じゃないぞ?」
ガタン…自販機でコーヒーを買う。
「サンキュー。 風俗?はは。 違うって。 もっと…熱いぜ?」
もっと熱い…? ピンコがすごくエネルギッシュになるのか!?
それから10分程歩いて俺達は目的地に着いた。 着いた…が、ガードマンっぽいのが2人立っている。
「おいおい…賢治ここなのか? 怪しさプンプンじゃねーか」
「はは。 まー表立って言える場所じゃねーからな。 あんま人に言うなよ? 別に言ってもいいけど」
言うなとか、言っていいってどっちなんだよ!
「会員証をお見せください」
ガードマンがそう言うと賢治がカードの様な物を渡す。
「はい。 こっちのは俺の連れです。 はい。はい。こいつのカードを作ってください。 はい。お願いします」
「おい。 おい賢治。 何なんだここは? 何か物々しいってか…カード居るって…会員制?」
「おちつけカイ。 ここが何かは入れば分かるから」
「あ…あぁ」
ガードマンが分厚い扉を開け、中に入る。 入ってすぐに地下に降りる階段がある。 そこを結構な長さ降りて行くとまた大きな扉があった。 エレベーターねーのかよ。 中に入るともう一つ扉があった。 中にもガードマンが居て扉を開ける… 入口から数えたら3枚の扉。 中には何があるんだろう?
『『うぉぉおおおおおお!!!!』』
「なっ! なんだ!?」
「カイ、この廊下を進んだら分かるぞ」
20m程続く廊下を歩いて着いた場所は…
「そこだぁあああ!!」
「オラ寝てんじゃねぇえ!てめぇに賭けてんだぞ!」
「そこ!そこだよ! ああ!」
「きゃぁああ! 勝ったわーー!倍率3倍よぉおー!」
「お…おい賢治ここは…」
「はは。 たまげたろ?」
「…そりゃたまげるわ」
「カイ。 ようこそ地下闘技場へってな」
おちゃらけて言う賢治…。どこで知ったんだよこんなの。
「お、あそこの席空いてるぞ。 カイ、あそこで観戦しようぜ」
「あ、あぁ」
空いている席に座って場内を見渡す。 球場の様に外側に段差がある客席。すり鉢状って言うのかな? 席はソファーで高級感ある。
『次の対戦はぁああ!』
「うお! なんだ?」
「今から戦いが始まるんだよ。 凶器、目潰し、金的無しでの戦いだよ。 殺しも無しな。 殴る蹴る絞め技…なんでもアリの戦いさ。 それを観客が楽しむのさ。 賭けもあるぞ。 上限は100万まで。 1対1じゃない場合もあるぞ。 1対5とかな。 1対1対1対1とかもあるぞ。 そこら辺の不良が試合に出る場合もあるし、暴走族対暴走族なんてのもある。 飲み屋での喧嘩が発展してここで殴りあうってのもあったな」
「警察…こないのか?」
「こないな。 警察も知ってるけど見て見ぬフリさ。 暴力団、ヤクザ、暴走族…捕まえないだろ?」
「あー…もし警察来たらどうすんだよ」
「退路はあるから大丈夫さ」
『ブラックホーク総長ぉおお! 対 ホワイトファング総長ぉお!』
『『わぁぁああああああ!!』』
『儂はブラックホークに10万じゃ!』
『あたしはホワイトファングに20万よ!』
「それにな…カイ。 ここは…飛び入りもできるんだぜ?」
そう言ってニヤリと笑う賢治。
「いやいや、しねーし。 ボクシングっても…軽い運動しかしてないんだぞ」
「そうだったな。 でも…殴り合いを生で見るのは熱いだろ?」
「確かに…熱いな……」
異世界でレベル上げれる俺が出れば…ここで稼げる?
『ホワイトファングの勝ちぃいい! レートは5倍です! レートは5倍となっております!』
『次の対戦はぁあ! 空手初段! 空手2段! 見習いレスラー! とある高校の番長!です!』
「おぉ…見ろよカイ! バトルロイヤルだ! これは熱いな! 賭けの倍率もバラけるから高くなんぞ!」
俺は…レベル上がって強くなった。 今無職だし、何か稼ぐ手段を探してた…
「賢治、5万渡すから紙袋マンに全部賭けといて」
「は? お、おい! カイ!」
やるしかないだろ!
ゴミ箱に捨ててあった紙袋を拾い、隠れて頭に被る。 そして上着を脱いで上半身裸に。
「俺は…紙袋マン!」
俺は中央に行き飛び入り参加をする。 一応レフェリーっぽい人居るから飛び入りを伝えた。
『ななな…なんとぉお! 飛び入りがでましたぁあ! 紙袋マンと名乗っております!』
『『わぁぁあああああ!!』』
『なんじゃあいつは。 筋肉があまり無いな』
『賭ける価値ないわねぇ…ただ、楽しめるわー』
『かかか…紙袋マンに20万!』
賢治…まだそんなに金持ってたのかよ! つか俺に賭けるやつ全然居ないな…レートが20倍とかなってんぞ…ラッキー!!
『ファイトォオオオオ!!』
カァアーン!!
空手初段と空手2段が睨みあってる中、俺・レスラー・番長が対峙する。
レスラーと番長ならレスラーを警戒すべきだろうな。 が、お構いなしに俺は番長に向かって行きストレートパンチを放つ。 喧嘩で慣れてるだろうが…俺のパンチは速いだろ! 顔面に一撃を入れて一発で沈めた。 レベル7舐めんな!
『紙袋マン一撃で番長を沈めたぁああ! 強い!強いぞ!紙袋マン! それとも番長が弱かったのかぁあ!』
『ざけんな一撃で沈んでんじゃねーぞぉお!』
『3万消えたぁあ…』
レスラーが俺を警戒し構えをとる…レスラーがジリジリと俺に近寄ってくる。 俺はジリジリと下がる…
「おらぁああ!!」
ドォオ!!
下がってると、近くに睨みあってる空手家が居たので背中をぶち蹴っといた。 卑怯? いやいや、バトルロイヤルだし。 1対1したいならバトルロイヤル方式とんなよ。
『おぉおっとぉお! 空手2段吹き飛んだぁああ! 何ていやらしいんだ紙袋マン! 空手2段立ち上がってきません!脱落ぅうう!!』
『うぁああ! 儂の30万がぁああ!』
『レスラー!やるのよぉおお!』
レスラーが俺に掴みかかってくる! 手で掴みあって力比べだ!
「が…がぁあ! 馬鹿なぁ!」
「残念だったな…俺の握力は115キロだ」
「その筋肉量で…115キロだと…!?」
「秘密だぞ?」
グッ!っと力を入れるとレスラーはたまらず手を離そうとする。 そのまま離させて…ボディブロー!
「らぁああ!!」
ドン! ドン! ドン! ドン!
「がぁあ! がはっ…」
「シッ! シッ!」
ドン! ドン!
「はぐぅうう…」
血を吐きながら倒れるレスラー。 内蔵が逝ってしまったかもしれない…
バキィ!
「ぐっ」
レスラーを倒して一息着いた所で後頭部に衝撃が走る。 空手初段の回し蹴りを喰らったらしい…結構な衝撃なんだけど…倒れる程じゃないな。
「シッ! シッ!」
俺はパンチを放つが…廻し受けで回避されてしまう。 空手2段を背後から倒しておいて正解だったかもしれないな。 どうするか…
「ふぅー…紙袋マン…強いな。 だが! せぇええええい!」
正拳突きを…受ける! ぐっ! 肉を切らせて骨を断つ! 正拳突きをした手を左手で掴み…空手初段の顎を…打つ!
「らぁあ!」
カクン…と空手初段が膝から崩れ落ちた。
『なんとぉおお! 紙袋マンの勝利ぃい! レートは25倍! レートは25倍となっております!』
『俺の…俺の金がぁあ』
『なんだよ紙袋マンとかぁあ!』
俺は戦いが終わってすぐに地下闘技場から出た。
「ふぅ…いける…いけるぞ。 地下闘技場か…」
もしかしたら…地球での金の稼ぎ方が決まったかもしれない。
下手過ぎた戦闘…こんな予定じゃなかった!




