6ハンティング
地下闘技場から出てタバコを咥えて一服だ。
キンッ…シュボッ。
「ふぅ。 落ち着くわぁー」
ジッポーで火を付けてタバコを楽しむ。100円ライターより美味く感じるのは何でなんだろうな。 ちなみにシルバーで十字架のアクセントが付いてるジッポーだ。 そうして一服していると地下闘技場から賢治が出てきた。
「カイ! 何だよあれ! 紙袋マンってなんだよ! あれお前だろ!」
「お、落ち着け賢治ぃい…肩持ってガクガクすんなよ。 落ち着くために一服しろ!」
賢治の口にタバコを突っ込みジッポーで火を付ける。 『キンッ…』って音いいよね。
「ふぅ。 で、紙袋マンって何だよ。 あー、500万稼いだから250万お前の分な」
「顔隠す物が紙袋しかなかったんだよ。 パンツだったらパンツマンだな。 あ、そうだ知ってるか? 前働いていた会社の後輩が彼女のパンツ被った事あるらしいんだけど…臭かったらしいぞ」
「紙袋マンはそこから来てたのか…。 それにパンツが臭いって…童貞で女は良い匂いがするって信じてる奴が聞いたら怒りそうな情報だな」
「それが現実さ」
「確かに…じゃなくて! お前の取り分250万な!」
「俺、5万しか渡してなかったから受け取りすぎだろ。 25倍だったから125万じゃないか」
「お前のおかげで稼げたしな。 いいんだよ」
「あー…じゃあスロット代出してくれたやつは引いて240万でいいや」
「黙って受け取っとけばいいもんを…わかったよ」
ガコン…自販機でコーヒを2本買う。勝利の一杯ってな。
「勝利に乾杯」
「お、サンキュー」
バタン。 車に乗り込んで家に向かって走り出す。
「そう言えばカイ。 お前…すげー強いのな。 何が軽い運動しかしてないだよ」
「軽い運動しかしてないさ。 この前初めてスパーリングしたんだぞ?」
「はぁ? それで空手2段とか見習いレスラー倒すってどうなんだよ」
「ほら、俺いま仕事してないだろ? 暇で鍛えまくってんのさ」
「はは。 仕事探せよな」
異世界で鍛えてます。 なんて言えないしな。 姉ちゃんまでで止めておかないと…いくら賢治と仲が良くても話が漏れる可能性がある。 酒飲んだ時とか、何かの拍子で喧嘩した時にヤケクソでバラされたらシャレにならん。 まぁ、戯言で終わるだろうけど。
「あ、そうだ賢治。 遅くまでやってるアウトレット商品置いてる店知らない?」
「ん? 行くのか? ここらだと開放倉庫だな。 夜中の3時までやってるぞ」
「んじゃそこまで頼む。 姪っ子に何か買って帰ろう」
「へいへい」
ブイーンと車を走らせ店へ到着。
「でかいな…。 っと、何買おうかな? おままごとセットとかにしようかなー? それとも熊のぺーさんにしようかな?」
「あー、カイ。 人形系はやめとけ。 盗聴器とか入れられてる可能性もあるしな」
「なんて夢のない事を言ってくれるんだ賢治…」
「史上最強の弟子ダイキチおもしれー。 師匠の空手のやつ…かっこよすぎ」
「……カイ。 姪っ子のおもちゃは? 漫画に夢中になってないでさ」
「はっ! そうだった。 ……子供が乗る車にしよう。 あと、おままごとセット」
「おっ、カイ。 ドローンがあるぞ。最近テレビの空撮ってこれ使ってんだってな」
空撮か…。 もしかしたら異世界で使えるかもしれないな。 森だから周りがどうなってるか分からないし…ドローンか。 買いだな!
「ドローンも買おっと」
「買いすぎじゃね?」
「今日だけ今日だけ」
会計を済ませて賢治の車におもちゃを乗せる。 まぁまぁの値段したけど今日の稼ぎだと屁でもない。
で、賢治の家に着いて俺はバイクにおもちゃをくくりつけようとするが…
「無理だ…子供の車ですら無理だ」
「いや、気付けよ…はぁ。 俺が家まで車で運んでやるよ」
「わりーな賢治。 マジ助かる」
賢治に車で荷物を届けてもらう。俺はバイクで帰ったけども…車で来れば良かったな。
賢治に礼を言って別れた。 深夜帰宅なのでおもちゃは起きてから渡そう。 喜んでくれるかな?
「じゃーん! 明日香ちゃんおままごとセットだよー」
「きゃー♪」
「あら、明日香の為に買ってきてくれたの? ありがとね」
「うちの姫だからな。 姉ちゃんの子供は俺の家族だし。 明日香ちゃんこっちは車だぞー」
「きゃー♪」
「はぁ…何にもできない子になってしまうから、甘やかしすぎないように頼むわよ」
「わかってるって」
んじゃ俺は…異世界ガイアースにでも行きますかな! 銃にナタにタバコに飲み物に双眼鏡。 後は…ドローンだ! 転移!!
~ガイアース~
「よし。 さっそく一服っと。 で、ドローンを…飛ばす!」
地球で練習してきたから何とか飛ばすことはできた。 木を超えて上昇させる。 見えるのは…木、木、木…。
ん? あっちの方は木が無いな…
ピゲェェェエエ!!
ザザザ…っと画像が消える。 上を見上げると5mぐらいのプテラノドンっぽいのが居た。 そいつがドローンをパクリと食った。
「あぁあ!! 俺のドローンちゃん! 買って一日でお亡くなりにぃい!」
許すまじ…許すまじプテラノドン!! 名前知らんけど!
ピゲェエエエエ!!
「うん。 ごめんなさい。 転移!!」
めっちゃこっち見てたので速攻で転移した。 あんなの来たら死ぬわ!
10分程待ってタブレットでガイアースの様子を見る。 転移する場所の様子をタブレットで確認できるのだ。 できなかったら…転移、即死亡とかなりそうだったな…。
さっきのクソ鳥は…居ないな。 もっかいガイアースに転移!
「ふぅ。 取り敢えず一服して…、何なんだよあのクソ鳥は。 空にあんなの居たら…ドローン作戦できんじゃないか。 まぁいい。 少しだけ上がった時に見えたけど、森の切れ目が見えたしそっちに行ってみるか」
ドローンで見た時に木が無い方向があったからそっちに向かって歩きはじめる。 警戒しながらだから進むスピードは遅いけど。
ガサガサガサ…
「グル…」
タァーン!
オオカミが出てきたけど速攻で仕留める。 あっちは何が起きたか分かってないだろう。 草薮出たら死んでました状態だからな。 それからも何度が魔物が出たけど問題無く蹴散らす。 熊出なくて良かった…
しばらく道なき道を歩いて漸く森を抜けた。
「これは…街道か? これを辿っていけば人里に行けるかな? だけどどっちに向かうか…。 右に行ったら1日、左に行ったら10日とかだったらたまらんしな」
さて…どうするか。 んー… コイントスで決めよう。 あ、金持ってきてねぇわ。 タバコ投げてフィルターの向いた方にするか。 ていっ! フィルターの向いた方は…左だな。 左に行こう。 タバコは拾って吸いますか。
キンッ…シュボッ。
「ふぅ。 どれだけ歩けば人里に着くかな。 双眼鏡で見ても何も人里らしきもんは見えないし」
銃を背中に背負い、右手にタバコ、左手にコーヒー。 何か猟師っぽくていいね。 ん? 街道の先に砂煙? 双眼鏡で確認… なんか馬車っぽいのが見えた…。 どうする!? まだこの世界の人間性がわからないし…隠れるか。
俺は街道を外れ森方面へと走り木の裏に隠れ双眼鏡で馬車の様子を確認した。
ダダダダダダダダ…
「おいおい…馬…? 足が6本あるぞ。 御者?って言うのか? は…デブのオッサンだな。 この世界に人間は居るか」
人間が居るのは確認できたが、姿を現すのはよろしくないな。 魔物の出る世界だし武器持ってるだろうからな。 いきなり攻撃される可能性もある。
進行方向から馬車来たって事は人里があるんだろうな…行くか。
それから俺は街道を歩いて人里を目指した。 たまに馬車が通るが隠れてやり過ごす。 ここまで警戒しなくてもいいかもしれないけど、念のためだ。
3時間程歩くと城壁らしきものが見えた。 遠くから双眼鏡で城壁の方を見る。
「門らしきものが見えるな。 検問?あるのか? 馬車が3台程並んでるな」
どうするか…このまま行くべきか…。 もう少し様子を見てからでもいいか。 地球で寝れるから宿取る必要もないし焦る事もないしな。
しばらく様子を見てて気付いたんだけど…黒髪がいないな。 珍しい、もしくは居ないか…
「念の為、髪…染めてから街に行ってみるか。 そう言えばこの世界の金無いな…魔物が落とした物売りに来た事にしよう」
俺はガイアース初となる街に入る為の準備を、地球で準備する為に一旦帰ることにした。




