2ハンティング
「で、球が割れて変な場所行って猪倒したらレベルが上がったって? あんた寝てたんじゃないの?」
俺は蔵で起きた事を姉に話した。全く信じてないが…当然だろう。逆に言われたら、コイツ頭おかしいんじゃねーの?ってなるからな。
「いや、マジなんだって姉ちゃん。服に血着いてたし! いや、確かに頭おかしい様な話だけどホントなんだって!あークソ! そう言えばタブレットみたいなのあったな…。 どうやってだすんだ? 出ろ!タブレット出ろ!!」
ボフン
「出た! ほらほら!やっぱ夢じゃねーよ! タブレット出たし」
「はぁ? 何もないじゃない。 あんた…病院行った方がいいわよ」
なんだと!? まさか…見えないのか!?
「見えないの? ここにあんじゃん! ほれ!触ってみろって」
「はぁ? 何もないじゃない」
スカッっと姉の手が空を切る。 馬鹿な! 俺にしか見えないのか!? そう言えば転移ってのがあったからやってみるか。 えー…猪倒した所の風景が映ってんな。 何か名前書いてる…『異世界ガイアース』だって? 世界の名前か? つか異世界なのか…。まあいいや!転移ボタンをタッチだ!
シュン…
「は…はは。 ここって森だよな? 夢…じゃないよな?」
ほっぺをツネってみる。 痛い。 夢じゃない… ん? 猪倒した場所に何かあるな。 牙?と宝石?
「あーそうだ。これ持って帰れば証拠になるだろ。 もっかい転移!」
タブレットらしき物を操作してまた家に帰る。
「わぁ! あ、あんたどこ行ってたのよ! ってか目の前で消えたし! …どうやら本当の話みたいね」
「ぐっ。 牙見せる前に信じて貰えた…嬉しいやら悲しいやら」
「目の前で消えたら信じるしかないでしょ。 それより…その力の事は誰にも言っちゃダメよ? 悪くて実験動物。良くて見世物…かしらね」
「マジか…。 まぁ…考えて見ればそうだろうな。 でもレベル上げとかしてみようと思う。倒したら何か落とすし」
「アンタ…死ぬわよ?」
「無理はしないって」
「そうじゃなくて…レベルのある所なら…魔物とかもいるんじゃない? 相手は殺しに来るのよ?アンタそれわかってんの? どれほどの文明か知らないけど…もし悪い人が居て、弓で撃たれたら死ぬのよ?」
「それでも…行きたいんだよ。 それに…じいちゃんの猟銃があるからそれ使うよ。こっちで使うのは問題だけど、あっち…ガイアースって言うらしいんだけど、そっちで使うには問題ないだろ。 銃世界じゃないかもしれないし、それだと銃を広めるつもりもないし。 それに、危ないって思ったら速攻でこっちに逃げる」
「はぁ。 言っても聞かないみたいね。 いい? 無茶するんじゃないわよ」
「わかってるって」
「絶対わかってない」
ちょこちょこ姉と話してその日は寝た。 姉の娘の明日香を可愛がったのは言うまでもない。
☆★ 次の日 ★☆
「っし、猟銃も準備した。 んでも今日はジムの日だな…ジムから帰ってからガイアースに行くかな」
仕事を辞めてから俺はボクシングジムに通い始めたんだ。 ストレス発散とだらけた体を引き締めたいってのがあったからね。 バイクのヴァリオスに乗ってジムまで行く。
フォン!スー…
サイレントマフラーでめっちゃ静かなバイク…歩行者が気付かないくらいの静音性だ。爆音で走ってるアホの横をスーっと抜くのがこれまた楽しいんだな。
「ちわーっす」
「おう! 御堂君。 適当に運動してストレス発散しろよ!」
「おっす!」
話かけてきたのはこのジムのオーナーだ。 いかついが結構気さくな人だ。 会社辞めた理由話したんだけど、そんな事もあらーな!とか言ってくれた人だ。
んじゃ運動しますかな。 ストレッチして縄跳び。サンドバック等、一頻りやる。
「ふぅ…いい運動になったな」
「オッサン終わったらさっさとどけよ」
「ん? あぁ。悪い悪い」
「ふん! ヘタレが」
この口のクソ悪いクソガキは天童武。 金髪モヒカンの16歳の頭の悪いガキだ。モロヤンキーなんだけどボクシングを頑張ってる。 まぁ…喧嘩に使ってんだろうけどな。 イラつくが一々相手にしてやる程でもない。所詮アホが生意気な口聞いてるだけだ。 限度越えたら猪の様に解体してしまうかもしれない。 嘘だけど。
「ん? 握力計あるからやっとくか。レベル上がったってなってたし1キロくらい上がってるかな? ふんぬらばぁあ!! どれどれ…75キロ…だと?」
確か…昨日、蔵にあった握力計で測ったら68キロだったよな…いやいや、壊れてたんだろきっと。そういうことにしておこう。
ジムでの運動を終えてスーパー寄ってジュース買い込む。 あっちで狩りしながら飲むのだ。んで帰宅。
「リュックに…携帯…はいらんな。 ジュース入れて…パン入れて…タバコっと。着替えも一応持っていこう。 じいちゃんの猟銃も持った。 刀…研いでない…けど持っていくか。 よし! 行くか! 転移!」
シュン…
ガイアースに到着。 猟銃をいつでも撃てるようにして…適当に歩くか。 人里探すのはまだ止めとこう。 言葉通じるか分からないし、好戦的だったら接触するのはまずいしな。 服装も似たようなもんにしなくちゃ怪しまれるだろうし、まずは人を見つけても遠くから観察だな。 あ!双眼鏡もってくればよかった!
「双眼鏡も取ってきた。 つか転移便利すぎだろ」
んな事を一人でブツブツ言いながら森を歩く。 喋ってないと…ちょっと怖いのだ。不安隠しだな。
んでしばし歩いてたら茂みの方からガサガサと音がしたから屈んで猟銃を構えた。
ガサ…ガサガサガサ
兎…かな? こっちには気付いてないみたいだな…銃を構えて…引き金を引く!
タァーーン!
断末魔を上げることもなく兎は事切れた。
「ふぅ…初撃ちだけど何とかなるもんだな。衝撃も思ったよりも無かったし。 つーか…兎が光になって消えないぞ? 銃だからか? 何でだ? 解体…するか。 いや待てよ。血で寄せられて来るかもしれないから…血抜きだけしてそのまま置いとくか」
ってな訳で血抜きだけして兎はそのままに。 光になって消えなかったのが何故か分からない。 何度か検証してみないといけないな。
木の上に登ってしばらく待ってると…ガサガサ音を立てながら何かがやって来た。 血に誘われたか。
「また兎? …いや、角があるぞ? 角付きとか…流石異世界ってか」
木の上から銃を構えて角付き兎を狙う。 距離も遠く無いので外すことはないだろう。引き金を引き絞り…
タァーーン!
またもや断末魔を上げること無く事切れた。 が、今度は光となって消えた。 角付き兎が居た場所には毛皮と宝石?が残ってる。 んー。 最初のは普通の兎で角付きは…魔物? 魔物だけが光となって消える? 誰かに聞ければいいんだけど…それもできない。
毛皮を取りに行ってまた木の上で待つ。
しばらく待ってたら…オオカミが2匹出てきた。 でけぇ。 ん? 目が赤いな。 魔物は目が赤いとか? 倒したら分かるかもしれないな。
兎に集中してる間に狙いを付けて…
タァーーン!
頭を吹き飛ばす。 光となって消えた。 音にビビったのかもう1匹のオオカミは固まってる。
タァーーン!
「ギャイン!」
胴に当たったみたいで瞬殺とは行かなかったが…もう一発打ち込んでオオカミを倒す。 やはり光となって消えた。
目…が赤い奴が消えるのかな? たぶん。
オオカミを倒して残ったのは毛皮と宝石。 そして牙と宝石。 何を残すかはランダムなのかもしれない。
「ふぅ…タブレット確認してみるか。 …レベルアップしてるな。 レベル3だ。 よし! 落とした物回収して帰ろう」
あー…そういえばレベル上がったし握力を測ってみるかな。 蔵に置いてあった握力計を握りしめる。
「ふんぬらばぁああ!!」
……はは。 82キロだって。 どうやらガイアースで上げたレベルは地球でも通用するらしい。上げまくったら…大変な事になりそうだな…




