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第42話:提出

翌朝、アルノーとリュミエールは管理棟に向かった。


廊下を二人で歩くと、視線が増えた。白棟の首席と灰練の最下位が並んで歩いている。それだけで、廊下の生徒たちが足を止めた。アルノーは視線を気にしなかった。リュミエールも気にしていなかった。少なくとも、そう見えた。


オルテの居室の扉をノックすると、すぐに「入りなさい」という声がした。


オルテが机で書類を確認していた。二人が入ると、眼鏡越しにアルノーを見てから、リュミエールを見た。少し驚いた様子だった。


「セレスティナ。あなたも来たのですか」


「一緒に作成しました。共同提出です」


オルテが少し間を置いた。それから「座りなさい」と言った。


二人が椅子に座った。アルノーが報告書をオルテ의 机に置いた。


オルテが報告書を手に取った。


最初の数枚を読んだ。手が止まった。もう少し読んだ。また止まった。全体をめくってから、最初に戻って読み直した。


「……これを、昨日一日で作ったのですか」


「昨日の午後から夜にかけてです」リュミエールが答えた。


「計測記録が五日分、条件を揃えて記録されている。理論の説明が明確で、数値との対応が取れている」オルテが報告書を置いた。「想定より、はるかに整った内容です」


「審査委員会の要求に応えるために、必要な内容を揃えました」


オルテがアルノーを見た。


「ヴァレリウス。理論の部分はお前が書いたのか」


「はい。リュミエールさんに確認してもらいながら書きました」


「……数値の分析も、非常に論理的だ」


オルテが報告書をめくる手を止め、ある箇所で視線を止めた。


「先行研究の項目がありますね」


「はい。工房の記録を確認しました。六十年前と三十年前に、類似した研究があることが分かりました」


「工房の記録は——」オルテが少し間を置いた。「監視院がマークしている工房です。その記録を審査に出すことは、審査の場に政治的な要素を持ち込むことになります」


「技術的な記録として使います。政治的な意図はありません」


「あなたに意図がなくても、周囲がそう見ない可能性があります」オルテは言った。「慎重に判断しなさい」


「分かりました」


オルテが報告書を再び手に取った。


「先行研究の部分を除けば、この報告書は審査に提出できる水準です。先行研究が加われば、さらに強い内容になる」オルテが言った。「一か月以内という期限を、守れそうですか」


「工房の許可が取れれば、来週中に完成します」


「早いですね」オルテが少し目を細めた。「ただし急がなくていい。内容の質を落とさないように」


「分かりました」


二人が立ち上がりかけると、オルテが続けた。


「一つだけ言っておきます」


二人が待った。


「クレイン先生が、審査委員会の決定に対して正式な異議を申し立てる準備をしているという話が届いています」


アルノーは頷いた。


「異議の内容は」


「一時停止措置の解除が拙速だったという主張です。十分な実証がない段階で解除することは、王立の審査基準に反するというものです」オルテは言った。「正式な異議が提出されれば、審査委員会が再度開かれる可能性があります」


「そうなった場合はどうなりますか」


「報告書の内容次第です。内容が十分であれば、異議は退けられます。内容が不十分であれば、再び停止措置がかかります」


リュミエールが言った。


「十分な内容にします」


二人は学年主任の部屋を後にした。

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