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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第098話 極振りヒーラー、エレメント戦1

翌朝、洞窟の奥で休息を取っていた全員が目を覚ます。


ティアがランキングボードを表示した。

空中に浮かぶ半透明の画面に、現在の順位が映し出される。


【現在のランキング】

一位:【流星の覇者】三十二pt

二位:【エレメント】二十八pt

三位:【蒼嵐の軍団】二十五pt

……


十二位:【星天の翼】十四pt


「十二位か……小規模ギルドとしては上位だね」


ヒマワリが呟く。


「しかし、このままでは十位以内は難しい」


ティアが冷静に分析する。


「小規模ギルドを狙う戦法は、すでに効率が落ちています。ほとんどの拠点が警戒を強めました。昨日、私たちが襲撃したギルドも、今頃は防御を固めているはずです」


「じゃあ……どうする?」


ヒマワリが腕を組み、問いかける。


ティアは一拍置いてから、はっきりと言った。


「……大規模ギルドのクリスタルを狙います」


一瞬、洞窟内が静まり返った。


「大規模ギルド!?」


ノエルが思わず声を上げる。


「はい。理由は二つあります」


ティアは落ち着いたまま、指を一本立てた。


「一つ目。大規模ギルドのクリスタル破壊は三pt獲得できます。単純に獲得できるポイントが高い」


次に、二本目の指。


「二つ目。大規模ギルドがポイントを落とせば、上位ギルド同士の潰し合いが加速します。混乱が広がれば――私たちにも、割り込む余地が生まれます」


「でも、私たちの戦力で大規模ギルドを攻めるのは厳しいんじゃ……」

リリアが不安そうに言う。


「【エレメント】は現在、積極的に他ギルドを攻めています。拠点防衛は、最小限の人数に絞っているはずです」

「でも、アクアとアウスがいるよね……あの二人、強力な範囲攻撃魔法を持ってるって聞いたよ」


「はい。だからこそ、遠距離戦に持ち込みます」

ティアが作戦を説明する。


「ステラ、ルナ、ティアの三名で遠距離から攻撃します。ステラが回復とバフ支援に徹する。ティアが狙撃、ルナが魔法攻撃です」

「三人だけで大丈夫か?」


バルトが心配そうに問いかける。


「全員で行けば拠点が無防備になります。少数精鋭で挑みます」

「私が二人を守るから、大丈夫だよ」


ステラが柔らかく微笑む。


「じゃあ、拠点は任せて。気をつけてね」


ヒマワリが頷いた。





ステラ、ルナ、ティアの三名が【エレメント】の拠点へ向かう。

森を抜け、開けた平地にある石造りの砦が見える。

ティアが《ホークアイ》で拠点を観察した。視力が強化され、遠くの様子がはっきりと見える。


「防衛メンバーは約十名。外周に六名、内側に四名。アクアとアウスは中央付近――クリスタルの近くです」


「クリスタルはどこ?」

ステラがクリスタルの位置を確認する。


「砦中央、中庭に設置。ここからでも確認できます」

「どうやって攻める?」


ステラが短く問いかける。


「まずは――上空から奇襲します」


ステラが《マジック・ハンド》を発動する。

巨大な魔法の手が三人を掴み、空中へ持ち上げた。高度約五十メートルまで上昇していく。


「わぁ……高い!」


ルナが驚きの声を上げる。

「景色がきれい……じゃなくて、集中しないと」


ステラが小さく息を整える。

ステラが砦の真上まで移動する。【エレメント】の防衛メンバーはまだ気づいていない。


ティアが静かに弓を引き絞る。

視線の先は、砦の中央――真下にあるクリスタル。


《必中の一矢》を発動し、矢が淡い光に包まれる。

「《五の矢 貫》」


放たれた矢は、重力に導かれるように一直線に落下する。

空気を切り裂く鋭い音が、上空に響いた。


しかし――

「《アースドーム》!」


アウスの反応は、あまりにも速かった。

瞬時に土の魔力が収束し、クリスタルを覆うように半球状のドームが形成される。

次の瞬間、矢はドームに突き刺さり、そこで完全に勢いを失った。


「ちっ……!」


ティアが小さく舌打ちする。


「上空! 敵襲です!」


アクアが叫ぶ。【エレメント】の防衛メンバーが一斉に上を見上げる。


「降りるよ」


ステラが《マジック・ハンド》で三人を地上に降ろす。砦の外、約百メートル離れた地点に着地した。


「ステラさんとは言え、小規模ギルドが三名……舐められたものですね」


アウスが冷静に言う。


「すぐに終わらせましょう」


アクアが前進を始める。【エレメント】の防衛メンバーが三人に向かって進軍してきた。



ステラが素早く詠唱を開始する。まずは自分自身にバフを展開していく。


「《プロテス》《剛力》《迅速》《魔力増幅》《星の巡り》!」

ステラの全身が淡い光に包まれる。防御力、攻撃力、速度、魔力、運が上昇した。


ステラがさらに回復系スキルを重ねる。


「《ヒール》《ハイヒール》《リジェネ》《再生の祝炎》!」

四つの回復スキルが共鳴し、特殊なバリアが形成される。

リストア・ヴェール――持続回復とダメージ軽減の複合バリアだ。淡い光の膜がステラを包み込む。


「《慈愛の抱擁》!」


背中から白い光の翼が六枚展開され、範囲スキルを発動する。

ステラが展開中のバフが範囲内の味方全員に適用された。

ティアとルナにも同じバフとバリアが展開される。


「ありがとうございます」


ティアが短く礼を言う。


「力が湧いてくる……!」


ルナが拳を握る。


「これで守れる……はず」


自分に言い聞かせるような小さな呟き。

だがその背中は、すでに覚悟を決めた者のものだった。


「バリアですか。では――《シェルブレイカー》!」


アウスが腕を振り抜く。

魔力で形成された岩石の槍が射出され、一直線に飛来した。


土の槍が、ステラを包むリストア・ヴェールに突き刺さる。


淡い光の膜に、はっきりとした亀裂が走った。


「えっ……バリア崩壊系のスキル!」


ステラが驚く。通常の攻撃とは違う、バリアを特に破壊する効果だ。


「《ウェーブクラッシュ》!」


アクアが高圧水流を放つ。奔流がバリアを叩き、亀裂が一気に広がった。

こちらもバリア崩壊効果がある。


「二人とも持ってる……!《ハイヒール》!」


回復魔法が発動し、揺らいでいた光が再び強度を取り戻す。

砕けかけたリストア・ヴェールが、修復されていく。


「再生するバリア……厄介ですね」


アウスがわずかに眉をひそめた。


「ならば、連続で攻撃を」


ティアが《必中の一矢》《五の矢 貫》を発動する。

矢がアウスに向かって飛ぶが、アウスが《アースウォール》で防御した。

土の壁が矢を受け止める。


ルナが《マジックブースト》を発動し、《サンダーボルト》を連発する。

雷がアクアに向かって落ちるが、アクアが《ウォーターヴェール》で防御した。

水の膜が雷を減衰させる。


攻撃と防御が交錯する。


だが――決定打が、出ない。


ティアの矢はアウスの《アースウォール》に阻まれ、

ルナの魔法はアクアの《ウォーターヴェール》で殺される。


ステラはひたすら、バリアの維持に集中していた。


「このままでは埒が明きませんね」


「ええ」


アクアが小さく頷く。


「ならば――本気で行きましょう」


二人の魔力が、明らかに一段階上昇する。


「《タイダルウェーブ》!」


アクアが両手を振り上げる。

次の瞬間、巨大な津波が発生し、水の壁となって三人へと押し寄せた。


「《アースクエイク》!」


ほぼ同時に、アウスが地面へ魔力を叩き込む。

足元が激しく揺れ、立っているだけでも困難になる。


リストア・ヴェールが激しく揺らぎ、光が明滅する。

しかし《リフレクト・ヴェール》の効果が発動した。

バリアが受けたダメージの一部が反射され、アクアとアウスに返る。


「うっ……!」


二人が反射ダメージを受け、わずかにHPが削られる。


「……噂に聞く、反射バリアですか」


アクアが《ウォーターヴェール》で自分とアウスを回復する。水の膜が二人を包み込み、HPが回復していく。


「くっ……《ハイヒール》!」

ステラがバリアを再展開するが、消耗が激しい。


「《ハイドロカノン》!」

アクアが超高圧水流を放つ。バリアを貫こうとする圧倒的な水圧だ。


「《アースレイン》!」

アウスが岩石の雨を降らせる。無数の岩石がバリアに降り注ぐ。


――崩壊。

――再展開。

――反射。


そのたびに、《リフレクト・ヴェール》がダメージを返し、アクアとアウスのHPが少しずつ削られていく。

だが、アクアはその都度ウォーターヴェールで回復を行う。

代償として、確実にMPが削られていった。


同時に――


「……MPが……もう半分以下……」


ステラの声に、明らかな苦しさが滲む。


「ステラさん、大丈夫!?」

ルナが心配そうに振り返る。


「このままでは……」

ティアが状況を判断する。


「……《スイート・レギオン》を使う」


ステラが冷静に判断する。


「でも、MPは……」


ティアが心配そうに言う。


「大丈夫。これしか方法はない」


ステラが決意を固めた。淡い光が全身を包み込み、新たな力が目覚めようとしている。


次は4/15 21時投稿予定

お楽しみに!

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