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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第099話 極振りヒーラー、エレメント戦2

ステラが杖を前へ突き出す。

全身から淡い光が溢れ、空中に三つの魔法陣が描かれた。


「《スイート・レギオン》!」


魔法陣が一斉に輝きを増し、光の中から三体の聖霊が姿を現す。

一体目は巨大な盾を構えた重装の騎士。

二体目はさらに巨大な盾を背負った、堅牢な守護者。

三体目は魔導書を携えた、優雅な魔導士だった。


「我が盾は、誰も通さぬ」


重厚な声で、ビスコルドが宣言する。


「守護を誓う」


チョコガルドが静かに頷いた。


「魔法の時間よ♪」


マジョレーヌは魔導書を開き、軽やかに微笑む。


「召喚魔法……!?」


アクアが驚きの声を上げる。


「あんなスキル、聞いたことありません」


アウスは冷静さを保とうとしながらも、明らかな動揺を見せていた。


【エレメント】の防衛メンバーも騒然となる。


「召喚士がいたのか!」

「数が増えたぞ!」


三対十だった戦力差が、一気に六対十に変わった。



アウスが魔力を解き放つ。


「《タイダルウェーブ》!」


巨大な津波が発生し、三人と聖霊たちへと押し寄せる。

しかしビスコルドとチョコガルドが前線に立ちはだかった。


「《ビスケットバリア》!」


ビスコルドが盾から光の障壁を展開する。


「《チョコレートウォール》!」


チョコガルドが巨大な盾を構え、防御壁を生成する。


二重の防壁が津波を真正面から受け止める。

激流は大きく勢いを削がれ、左右へと分かれてステラたちの両脇を通り過ぎていった。


「防御が……完璧すぎる」


アウスが思わず呟く。


マジョレーヌが魔導書を開いた。

風もないのにページがひとりでにめくれていく。


「《ファイアストーム》!」


渦を巻く炎の嵐が【エレメント】の拠点へと襲いかかる。


「《ウォーターヴェール》!」


アクアが水の膜を展開し、炎を減衰させる。

だが威力は強く、一部の炎が砦に着弾した。防衛メンバーが慌てて散開する。


「私も! 《マジックブースト》!」


ルナが魔法攻撃力を二倍にし、《サンダーボルト》を連発する。

雷が次々と落ち、【エレメント】の防衛メンバーを襲った。


「《ブリザード》!」


マジョレーヌが吹雪を呼び起こす。

視界は一瞬で白に染まり、敵の動きが明らかに鈍った。


防戦に回りながら、アウスが冷静に分析する。


「ならば――全員、前へ!」


アクアの号令とともに、【エレメント】の防衛メンバー十名が前進。


前衛が一斉に突撃し、後衛が魔法を放つ。


ビスコルドとチョコガルドが迎え撃った。

《ビスケットバッシュ》で前衛を押し返し、《クリームコーティング》で仲間を守る。


ステラは《ヒール》を繰り返し、聖霊たちのHPを回復していく。


戦場は、激しい攻防の渦へと飲み込まれていった。


「このままでは消耗戦で不利……」


アウスが判断を下す。

《アースウォール》を発動し、巨大な土の壁が砦の前方に生成される。

高さ十メートル、幅三十メートルの巨大な壁だ。


「壁の後ろから攻撃を!」

アクアが指示を出す。【エレメント】のメンバーが壁の後ろに隠れた。


「見えなくなった……!」


ルナが焦りを滲ませる。


「魔法が届かないわ」


マジョレーヌも眉を寄せた。


だが、ティアだけは弓を下ろさなかった。

壁の向こうを真っ直ぐに見据え、静かに告げる。


「……壁を貫きます」


「できるの?」


ステラが思わず問いかける。


「《七の矢 神降》を使えば」


「でも、それって……」


ルナが言葉を詰まらせる。


「はい。矢を放つまでは動けませんが、ティアが撃てる最強の一撃です」


ティアは特別な矢を番え、深く息を吸った。

精神を研ぎ澄まし、全神経を一点へと集中させる。


「《必中の一矢》《ホークアイ》」


矢が淡い光に包まれる。

視界が研ぎ澄まされ、壁の向こうが透けて見える。クリスタルの位置が鮮明に見えた。


「《七の矢 神降》」


矢が眩い光を放ち、神々しいオーラを纏う。

天から降り注ぐような神聖な力が矢に宿った。

全霊を込めた一射必殺級の大技だ。


ティアが矢を放つ。矢が一直線に飛び、《アースウォール》に激突する。

壁が砕け散り、破片が飛び散った。

矢はそのまま貫通し、クリスタルに命中する。


パリン――


クリスタルが光の粒子となって砕け散った。


「クリスタルが……!?」


【エレメント】のメンバーが混乱する。


「クリスタルが破壊された!」

「どうする!?」


「許しません……!」

アクアが怒りに満ちた声を上げる。


「全力で行きます」


アウスが頷く。二人が同時に魔法を発動した。


「《アクアストーム》!」

アクアが水の嵐を発生させる。暴風のような水流が三人を襲った。


「《アースクエイク》!」

アウスが地震を発生させる。地面が激しく揺れ、立っているのが困難になる。


ビスコルドが前線を守るが、二人の連携攻撃は凄まじい。


アクアが《ハイドロカノン》を発動し、超高圧水流がビスコルドを貫く。

アウスが《ロッククラッシュ》を発動し、巨大な岩がビスコルドに落下した。


ビスコルドのHPがゼロになる。


「すまない……ここまでだ……」


重装の騎士は光の粒子となり、静かに消えた。


「ビスコルド……!」


ステラの声が震える。


――だが、彼女は俯かなかった。


「《セラフィック・リザーブ》」


これまで受け止めてきたダメージの光が、限界まで蓄積される。

次の瞬間、聖なる爆発として解放された。


ステラの全身が眩い光に包まれ、天使のような翼が背中に現れる。


「《聖炎》!」


ステラが不死鳥の火球を放つ。浄化の炎がアクアとアウスを包んだ。


「くっ……この火力!?」


アクアが目を見開く。


チョコガルドが《イージス》を発動する。

完全防御の構えを取り、全ての攻撃を防ぐ。

アクアとアウスが集中攻撃を仕掛けるが、チョコガルドが全てを受け止めた。


「《メテオフォール》!」


マジョレーヌが巨大な隕石を空から降り注がせる。

アクアが《ウォーターヴェール》で防御するが、威力が強すぎて防ぎきれない。

隕石が直撃し、アクアが大ダメージを受けた。


「くっ……!」


ルナが《マジックブースト》で《サンダーボルト》を連発する。

雷がアウスを襲った。


ティアが《五の矢 貫》を連射し、矢がアウスに次々と命中する。

アウスのHPが削られていく。


「このままでは……」


アウスが防戦一方になる。


「《フェニクス・フレア》!」


ステラが不死鳥の炎を放つ。WIS依存の強力な炎魔法が、浄化の炎となってアクアとアウスを飲み込んだ。


「うわあああっ!」

「くっ……!」


二人のHPがゼロになり、光の粒子となって消える。


ステラがその場に膝をついた。

《セラフィック・リザーブ》の輝きが消え去り、張り詰めていた力が一気に抜け落ちる。


「はぁ……はぁ……なんとか……」

「ステラさん、大丈夫!?」


ルナが駆け寄る。


「MP消費が激しい……」


ティアも息を切らしている。《七の矢 神降》は強力だが、消耗も激しい。


しかし、まだ終わりではなかった。五分後、アクアとアウスがリスポーンしてくる。

【エレメント】の他のメンバーも態勢を立て直すだろう。


「一度、撤退しましょう」


ティアが冷静に判断する。


「うん……分かった」


ビスコルドを失い、残った聖霊たちとともに、三人は砦から距離を取った。

追撃の気配はない。今は、一刻も早く戦場を離脱するべきだった。


「このまま森へ――」


ティアがそう告げかけた、その瞬間。


ゴォォッ――ッ!


進行方向の地面が、爆ぜるように盛り上がる。

夜闇を引き裂くように、一本の火柱が天へと噴き上がった。


次は4/16 21時投稿予定

お楽しみに!

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