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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第094話 極振りヒーラー、ポイント稼ぎ

洞窟拠点に、二つの足音が戻ってきた。


「……戻りました」


静かにそう告げたのはティアだった。

その背後から、ノエルが軽く手を挙げる。


「周囲の小規模ギルド、だいたい把握できたよ。今のところ、大きな動きはなし」


バルトが頷き、簡潔に返す。


「了解。ヒマワリはまだか?」


「中規模ギルドの偵察に向かっています。もう少し時間がかかるでしょう」


ティアはそう言って、壁際に立つ。

その視線は、拠点の外――ヒマワリが向かった方向へと向けられていた。




ヒマワリは次の中規模ギルドの偵察へと向かっていた。

草原を抜け、森の斜面を駆け上がり、約二十分で次の中規模ギルドの拠点に到達した。


拠点は小高い丘の上にある砦のような場所だった。

石造りの壁が周囲を囲んでおり、中央にクリスタルが設置されている。

壁には複数の出入口があり、守りやすい構造だ。


「ここは……壁があるから、ティアの狙撃は通用しないね」


ヒマワリが物陰から様子をうかがう。

敵は約二十名が配置されており、壁の上から周囲を警戒している。

クリスタルの周囲には五名ほどが常駐しているようだ。


「正面からは……厳しいな」


情報をまとめようとした、その瞬間だった。


「誰だ!」


背後から鋭い声が飛ぶ。

振り返ると、【蒼天の剣】のメンバーが三名。

前衛二名、魔法使い一名――偵察に出ていたらしい編成だ。


「見つかった!」


ヒマワリが即座に《加速》を発動する。

しかし敵の前衛が素早く接近してきた。片手剣使いと槍使いだ。


「逃がすか!」


片手剣使いがヒマワリに斬りかかる。

ヒマワリが《ソニック・ブレイク》を発動し、素早く二連撃を繰り出して迎撃する。

剣と剣が激突し、火花が散った。


槍使いが横から突きを繰り出す。

ヒマワリが《跳躍》で高く跳び上がり、攻撃を回避する。


空中で体勢を整え、着地と同時に《ウィンドスラッシュ》を放つ。

剣に風を纏わせた斬撃が槍使いに命中し、大ダメージを与えた。


「くっ……強い!」


敵の魔法使いが《ファイアボルト》を放つ。

ヒマワリは即座に《蜃気楼》を発動。

虚像が生まれ、火球はそれを貫いた。


しかし拠点内からも【蒼天の剣】のメンバーが駆けつけてくる。

クリスタルを守っていたメンバーも含めて、約八名が襲いかかってきた。


「まずい……数が多すぎる!」


ヒマワリが状況を判断する。このまま戦っても不利だ。しかし逃げるだけでは何も得られない。


「だったら……!」


ヒマワリが決断する。

《加速》を最大限まで引き上げ、一気に拠点内へ突入する。

敵の包囲網を突破し、クリスタルに向かって突進した。


「なっ!?」

「クリスタルを狙ってるぞ!」


敵が慌てて追いかけるが、《加速》状態のヒマワリの速度には追いつけない。

ヒマワリがクリスタルの目前まで到達し、《サンダーラッシュ》を発動する。

雷の速度を得て、瞬間的に三回の連続斬撃を繰り出した。


パリン――


クリスタルにヒビが入り、一部が砕け散る。


「……よし!」


目的は果たした。


ヒマワリは即座に反転し、《跳躍》で壁を越える。

森の中へと身を投じ、そのまま全力で走り続けた。


「追え! 逃がすな!」


背後から迫る足音。

完全には振り切れていない。


それでも――。


「十分だよ……!」



ヒマワリは森の中を駆け抜けながら、近くの中規模ギルド【紅蓮の炎】に向かう。


「勢いに乗って、もう一つ行こう!」


木々の間を縫うように走り、わずか五分ほどで目的地へと辿り着いた。


しかし到着した瞬間、【紅蓮の炎】のメンバーたちが武器を構えて待ち構えていた。

約十五名が戦闘態勢を取っている。


「来たか! 【蒼天の剣】の仲間を連れて攻めてきたな!」


【紅蓮の炎】は、ヒマワリを【蒼天の剣】の一員、あるいは連携攻撃だと誤認している。

実際、後方からは【蒼天の剣】の追撃部隊が迫ってきている。

二つの拠点は近く、互いを警戒していたのだろう。


「これは……好都合かも」


ヒマワリが《ストームスタンス》を発動する。

三十秒間、移動速度上昇と攻撃に風と雷の追加ダメージが付与される。

全身を、風と雷の光が包み込んだ。


「迎え撃て!」


【紅蓮の炎】の前衛が一斉に踏み込んでくる。


しかしヒマワリの狙いはクリスタルだけだ。

敵との交戦を避け、《加速》と《ストームスタンス》の移動速度上昇を組み合わせた圧倒的な速度でクリスタルに向かって突進する。


「なっ……速すぎる!?」


敵の魔法使いが《サンダーボルト》を放つ。

ヒマワリが《跳躍》で高く跳び上がり、雷撃を回避する。


空中で《陽炎》を発動し、着地点に揺らぎを発生させた。

着地と同時に、後方から【蒼天の剣】のメンバーが追いついてくる。


「やっぱり【紅蓮の炎】の仲間だったのか!」

「いや、【蒼天の剣】だと!?」


二つのギルドが混乱する中、ヒマワリがクリスタルの目前に到達した。

《疾風連斬》を発動し、前方に五連撃を繰り出す。


風と雷の追加ダメージが加わり、クリスタルに連続攻撃が叩き込まれた。


パリン――


クリスタルにヒビが入り、一部が砕け散る。


「二つ目!」


ヒマワリは即座に反転し、その場を離脱する。


【紅蓮の炎】と【蒼天の剣】は、互いを敵と認識したまま衝突を始めていた。

怒号と魔法の光が交錯し、戦場は一気に混沌へと沈む。


その中心から、ヒマワリは《加速》と《跳躍》を駆使して一気に距離を取った。


「うまく……いったね」


小さく息を吐き、再び森へ。


ヒマワリは戦場を背に、【星天の翼】の拠点へと駆けていった。







ヒマワリが拠点へ戻ると、洞窟の奥には全員が集まっていた。

ティアとバルトも戻っており、防衛チームと情報を共有しているようだ。


「お帰り、ヒマワリちゃん!」


真っ先に声をかけてきたのはステラだ。

その表情は明るく、拠点が無事だったことを物語っている。


「ただいま! いやー、色々あったよ」


ヒマワリは肩で息をしながら、皆の輪の中へ入る。

そして、外で起きた出来事を一つずつ報告していった。


中規模ギルド二つのクリスタルを破壊したこと。

【蒼天の剣】と【紅蓮の炎】の拠点位置。

それぞれの防衛人数、拠点の構造、そして両ギルドが衝突する形になった経緯まで。


「中規模ギルドを二つ……それで4ポイントか」


バルトが感心する。


「バルトさんとティアで小規模ギルドを四つ破壊して4pt。ヒマワリさんが中規模ギルドを二つ破壊して4pt。合計8ptです」


ティアが累計ポイントを確認する。


「順調だね!」


ノエルが拳を握り、素直に喜びを表した。

だが、ティアはすぐに表情を引き締める。


「ただし、ここからが問題です。特に中規模ギルドは、ヒマワリさんの機動力を強く警戒するはずです。防衛を厚くし、罠や待ち伏せも増えるでしょう」

「うん……次は簡単には行かないね」


ヒマワリも頷いた。


「【蒼天の剣】と【紅蓮の炎】の拠点位置を共有します」


ティアがそれを記録し、詳細なマップに書き込んでいく。


「【蒼天の剣】は小高い丘の上、壁に囲まれた砦。防衛人数は約二十名。【紅蓮の炎】は開けた場所にある石造りの砦。防衛人数は約十五名です」

「了解。この情報をもとに、今後の戦略を立てます」


ティアが頷いた。


「みんな、頑張ろうね!」


初日の戦いは、【星天の翼】にとって理想的な滑り出しだった。


次は4/11 21時投稿予定

お楽しみに!

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