第090話 極振りヒーラー、第4回イベント告知
ギルドホーム、談話室。
ステラとルナが並んでケーキを食べていると、扉が開き、ヒマワリとソルが戻ってきた。
二人とも、満足そうな表情だ。
「おかえり」
ステラが声をかける。
「Lv25になった!」
ソルが嬉しそうに報告し、ヒマワリも頷いた。
「順調だね」
「私もLv25になったよ」
ルナの言葉に、ステラが手を叩く。
「おめでとう」
少し間を置いて、ヒマワリが提案した。
「せっかくだし、軽く狩りに行かない?」
「いいね。四人で行こう」
全員が頷き、次の行動が決まった。
四人でモンスター狩りを開始する。
出現したのは、《ウィンドゴーレム》三体。風を纏った石の巨人が、低い唸り声を上げながらこちらを睨んだ。
「やっちゃうよー! ――《二重魔法》!」
ルナがくるりと杖を回し、高らかに宣言する。
次の瞬間、《ファイアボルト》と《サンダーボルト》が同時発動。炎と雷、二条の魔法が並走しながら一直線にゴーレムへと突き刺さる。
轟音。
爆ぜる炎と弾ける雷光に包まれ、三体のゴーレムはなすすべもなく崩れ落ちた。
「すごい火力……」
ステラが思わず目を丸くする。
「えへへ、これが私の力!」
胸を張るルナ。どや顔がまぶしい。
だが、息をつく間もなく影が差した。
――ギャアアアッ!
上空から《スカイドレイク》が五体、急降下してくる。
「俺に任せて! ――《ラッキーセブン》!」
ソルが地面を蹴り、一気に間合いを詰める。
閃く短剣。七連撃。
一体目に叩き込まれた七発のうち、三発がクリティカル。派手なダメージエフェクトが跳ね上がる。
二体目へと斬りかかった、その瞬間。
ソルの短剣が――黄金色に輝いた。
「来たっ……!」
《奇跡の一撃》発動。
爆発的なダメージが炸裂し、スカイドレイクは悲鳴すら上げられず、光の粒となって消えた。
「よっしゃ、出た!」
「LUK極振り、やっぱりすごいね」
ヒマワリが感心したように頷く。
残る三体も連携で素早く処理し、戦場には静寂が戻った。
こうして狩りは無事終了。
四人は笑い合いながら、ギルドホームへと帰還するのだった。
ギルドホームに戻ると、既に他のメンバーが集まっていた。
バルト、ティア、リリア、ノエル。全員が揃っている。
「おかえり」
バルトが声をかける。
「お疲れ様!」
リリアが笑顔で迎える。
その時――システムアナウンスが流れた。
【重要なお知らせ】
【第4回イベント開催決定!】
【イベント名:クリスタル破壊戦】
【開催期間:3日間】
全員がアナウンスに注目する。
「詳細、見てみよう」
ステラがイベント画面を開き、全員で覗き込んだ。
《クリスタル破壊戦 ルール概要》
広大な専用フィールドに、参加ギルド全ての拠点が配置される。
イベント開始と同時に、全ギルドメンバーは自ギルドの拠点に転送される。
各ギルドの拠点位置は、ギルドの規模によって決定される。
大規模ギルド(五十一名以上):攻められやすく守りにくい拠点
中規模ギルド(二十一~五十名):攻めやすさと守りやすさのバランス型の拠点
小規模ギルド(二十名以下):攻められにくく守りやすい拠点
「俺たち、八人だから……小規模ギルドだね」
勝利条件は、他ギルドのクリスタルを破壊することでポイントを獲得する。
破壊時の獲得ポイント:
大規模ギルドのクリスタル破壊:三pt
中規模ギルドのクリスタル破壊:二pt
小規模ギルドのクリスタル破壊:一pt
自ギルドのクリスタルが破壊されると、ポイントを失う。
減少ポイント:
同ランク以上のギルドに破壊された場合:マイナス一pt
一ランク下のギルドに破壊された場合:マイナス二pt
二ランク下のギルドに破壊された場合:マイナス三pt
「つまり、俺たちが中規模ギルドのクリスタルを破壊したら二pt獲得。でも破壊されたら……」
ソルがルールを読み直す。
「俺たちが小規模ギルド同士で破壊されたら、マイナス一pt。中規模ギルドや大規模ギルドに破壊されても、同ランク以上だからマイナス一ptだね」
ヒマワリが続ける。
イベント終了時点での累計ポイントで順位が決定され、報酬は上位十位のギルド。
そのメンバー全員に、《古の宝石》が十個ずつ与えられる。
「古の宝石が十個……!」
ルナが目を輝かせる。
そして、ひときわ目を引く項目が続いていた。
――五デスリタイア。
各プレイヤーは五回死亡すると、その時点でイベント終了まで強制リタイア。
リタイアしたプレイヤーは復活不可となり、観戦モードへ移行する。
加えて、死亡するたびに全ステータスが五%ずつ減少。
この減少は累積し、五回目の死亡時には全ステータスがゼロとなってリタイアとなる。
さらに、ギルドメンバー全員がリタイアした場合、そのギルドのクリスタルは消滅する。
「五回で終わり……しかも死ぬたびに弱くなるって……厳しいね」
ヒマワリが眉をひそめた。
さらに重要なルールが続く。
各ギルドのクリスタルは五回破壊されるとリタイアとなり、消滅する。
メンバー全員がリタイアしていなくても、クリスタルが五回破壊されれば消滅する。
クリスタルが破壊された場合、五分後に自動的に復活する。
「クリスタルが五回破壊されたら終わり……でも、破壊されても五分で復活するのか」
バルトが腕を組む。
その他のルールも確認していく。
死亡時は自ギルドの拠点でリスポーン。
リスポーンには五分間の復活待機時間が必要。
拠点間のファストトラベルは使用不可。
全員がルールを読み終えた。
しばらくのあいだ、誰も言葉を発しなかった。
「これ……難しそう……」
リリアが小さく呟く。不安がそのまま声に滲んでいた。
次は4/7 21時投稿予定
お楽しみに!




