第069話 極振りヒーラー、流れ星を追って
ギルドホーム、談話室。
五人が集まり、テーブルを囲んでいた。
ステラが掲示板の告知を読み上げる。
「第3回イベント、開催決定だって」
「詳細は後日発表か。また大規模なイベントになりそうだね」
ヒマワリが腕を組む。
「前回のイベントも大変だったからね。今回はもっと準備しておかないと」
リリアが真剣な表情で言う。
「そうだね。各自、できる準備を進めよう」
ステラが頷く。
「じゃあ、それぞれ頑張ろう!」
ステラが笑顔で言い、五人は散っていった。
ステラは、基本的な支援スキルを習得するために動いた。
以前にティアが教えてくれた情報をもとに、次々とスキルを習得していく。
【スキル習得:剛力】
【スキル習得:迅速】
【スキル習得:魔力増幅】
「これで、みんなをもっと支援できる……!」
ステラが嬉しそうに呟く。
そして、夜――
ステラは一人でログインしていた。
夜のハネリ村は静かで、プレイヤーの姿もまばらだ。
広場を歩いていると、見慣れないNPCが立っているのに気づいた。
銀髪に星の装飾を纏った、神秘的な雰囲気の女性。星空を見上げながら、何かを呟いている。
《占星術師セレスティア》
名前が表示された。
「あの……何してるんですか?」
ステラが声をかける。
セレスティアがゆっくりと振り向く。
その瞳は、星のように輝いていた。
「……星を詠んでいるのです」
「星を……詠む?」
「ええ。星は全てを知っている。運命も、幸運も、不運も」
セレスティアがステラをじっと見つめる。その視線は、まるで何かを見抜いているかのようだ。
「あなた……星の加護が薄いですね」
「え?」
「このままでは、大切な時に運が味方してくれないかもしれません」
セレスティアが星空を指差す。
「星の試練を受けなさい。そうすれば、星があなたに微笑むでしょう」
その瞬間――
システムウィンドウが表示された。
【クエスト発生:星読みの試練】
「星の試練……」
ステラは少し迷ったが、すぐに決意した。
「やってみます」
セレスティアが微笑む。
「では、星見の丘でお待ちしています」
第二階層の山岳地帯。
ステラは山を登り、《星見の丘》に辿り着いた。
丘の上には、古い石碑と星座盤のようなオブジェクトがある。
夜空には満天の星が輝き、息を呑むほど美しい。
セレスティアが既に待っていた。
「よく来ましたね」
「ここが、星見の丘……」
ステラが周囲を見回す。星の光が、丘全体を照らしていた。
「ここは星の力が最も強い場所。試練は三つ。全てクリアすれば、星の加護を得られるでしょう」
「分かりました」
ステラが頷く。
「では、第一の試練です」
セレスティアが石碑を指差す。
石碑には、複雑な模様が刻まれている。
星座のような、幾何学的な図形。
「石碑に刻まれた星座の謎を解きなさい。夜空の星座と照らし合わせ、正しい順番で選ぶのです」
「星座……」
ステラは石碑と夜空を交互に見る。
石碑の模様と、夜空の星座――それらを照らし合わせていく。
「えっと……この星座は……」
WIS極振りのステラにとって、謎解きは得意分野だ。パターンを見抜き、順番を推測する。
「まず、この星座。次に、この星座……」
ステラは順番に星座を選んでいった。
最後の星座を選ぶと――石碑が光を放ち、美しい音色が空間に響き渡る。
「正解です。見事ですね」
セレスティアが微笑みかけた。
「では、次の試練へ」
「第二の試練は、流れ星の収集です」
セレスティアが杖を掲げると、空から流れ星が降り始めた。
美しい光の軌跡が、夜空を彩る。
「流れ星が地面に落ちる前にキャッチしなさい。制限時間は3分、目標は10個です」
「流れ星……!?」
ステラは驚く。流れ星は次々と降ってくる。
速度は速く、軌道も複雑で、普通に追いかけていては間に合わない。
「どうしよう……」
ステラは考え、瞬時に判断した。
「軌道は複雑だけど、法則はある……先回りすれば……!」
落下地点を計算し、先回りして待機する。
流れ星は予測通りの場所に落ちてきた。
「取れた!」
一つ目の流れ星を手に入れる。
同じ方法で、次々と流れ星を集めていく。軌道計算、先回り、キャッチ――繰り返しながら、ステラは数を重ねる。
「もうちょっと……!」
制限時間が迫る中、ステラは必死に流れ星を追った。
そして――
「10個……!」
制限時間ギリギリで、10個の流れ星を集めきった。
「素晴らしい。知恵で補いましたね」
セレスティアが微笑み、称賛の言葉を送る。
「では、最後の試練です」
セレスティアが杖を掲げると、丘の中央に光が集まり始めた。
光が人型を形成し、やがて――
《星の守護者ステラリウス》が現れた。
全身が星屑で構成された、人型の精霊。美しく、そして神秘的な存在だ。
「これが、最後の試練……!」
ステラは杖を構える。
「《プロテス》! 《ヒール》!」
自分を強化し、バリアを展開する。
「《フェニックス・フレア》!」
不死鳥の炎が、ステラリウスを包み込む。
だが――
ダメージがほとんど入らない。ステラリウスの体が星の光で守られているようだ。
「硬い……!」
ステラリウスが反撃する。光の矢が、空から降り注いだ。
バリアが光の矢を防ぐ。だが、攻撃が効かないままでは勝てない。
「どうすれば……」
その時、セレスティアの声が聞こえた。
「星は光を纏っている。ならば、光を消せば……」
「光を消す……闇属性!?」
ステラは閃く。だが、闇属性魔法は持っていない。
「でも……光を遮ることはできる……!」
ステラは《マルチディバイン・シールド》を展開する。三つの神聖障壁が、ステラリウスを囲んだ。
光を遮る壁。ステラリウスの輝きが、少しずつ弱まっていく。
「今だ……!《フェニックス・フレア》!」
不死鳥の炎が、再びステラリウスを包み込む。
今度は、ダメージが通った。
光が弱まったステラリウスは、防御力が大幅に低下していた。
炎がステラリウスを焼き尽くし――
光が消え、ステラリウスが消滅した。
「……やった……!」
ステラが安堵の息を吐く。
「見事です。あなたは試練を乗り越えました」
セレスティアが杖を掲げる。
星空から光が降り注ぎ、ステラを包み込んだ。温かな光が、体に染み込んでいく。
【スキル習得:星の巡り】
「新しいスキル……」
ステラがメニューを開く。
《星の巡り》
効果:対象のLUK上昇
「これで、星があなたに微笑むでしょう」
セレスティアが優しく言う。
「大切な時、きっと幸運が訪れます」
「ありがとうございます……!」
ステラが笑顔で礼を言う。
「また、星が導く時に会いましょう」
セレスティアが光となって消える。
ステラは一人、星空の下に残された。
「……綺麗だな」
ステラは星空を見上げる。満天の星が、優しく輝いていた。
「星の加護……か」
ステラはスキル説明を再確認する。
ステラが嬉しそうに笑う。
「次の冒険で、試してみよう」
ステラは星空を見上げたまま、しばらくその場に佇んでいた。
静かな夜が、ステラを包み込む。
そして――
新たな力を手に入れたステラは、次の冒険へと思いを馳せた。
次は3/17 21時投稿予定
お楽しみに!




