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死ぬのが怖いので、不人気の回復職を選びました。  作者: s-rush


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第103話 極振りヒーラー、最強ギルドとの闘い2

【星天の翼】のメンバーが、次々とダメージを受けていく。

バルトとノエルは吹き飛ばされ、洞窟の壁に激しく叩きつけられた。

ティアはレヴィンに抑えられ、ヒマワリはミラージュの猛攻に押し込まれている。

後衛に陣取るルナ、リリア、ソルも、降り注ぐ矢の雨を浴びて大きく体勢を崩した。


ステラが全員のHPを回復しようとするが、攻撃の速度が速すぎて追いつかない。

バリアも展開したとたんにバリア崩壊系のスキルで破壊されてしまう。

このままでは全滅する。


「みんな……!」


覚悟を決め、ステラは両手を大きく広げた。

その瞬間、全身から淡い光が溢れ出す。


「《スイート・レギオン》――フル・サモン!」


光が爆発的に広がり、洞窟内に十個の魔法陣が展開された。

眩い輝きの中から、十体の聖霊が次々と姿を現す。


それぞれが異なる武器と装備を携え、独自の意志を宿した存在――

ステラの切り札だった。



前衛陣から、三つの影が一斉に躍り出た。


「――剣に誓いを。ここより先は通さぬ」


片手剣を構えたナイトショコラが、凛とした声で名乗りを上げる。

甘さの奥に、揺るぎない騎士の矜持があった。


「じゃ、テンポよくいこっか。遅いのは苦手なんだ」


軽やかな足取りで間合いに滑り込むのは、双刃のダガーを操るジェラート。

氷菓のように冷静で、しかし速い。


「この一撃に、全部乗せだ!」


両手剣を担ぎ上げたシュトレンが、豪快に笑う。

その刃に宿るのは、力こそ正義という純粋な信念だった。


その背後で、二体のタンクが前線を固める。


「我が盾は、退路にして聖域。誰一人、倒させはせん」


堅牢な盾を構えるビスコルドが、静かに敵を睨む。


「任せろ。守るってのは、嫌いじゃない」


大盾を背負ったチョコガルドが一歩前に出て、地面を踏みしめた。その存在だけで、陣形が安定する。


後衛から、澄んだ声が響く。


「はいはい、標的ロック♪ 一番おいしいところ、いただくね」


弓を引き絞るキャンディスが、楽しげに矢先を向けた。


「さあ――甘くて、ちょっと危険な魔法の時間よ」


魔導書を開いたマジョレーヌが、艶やかに微笑む。ページがめくれるたび、魔力が空気を震わせる。


「心配しないで。みんな、もっと輝けるよ」


杖を掲げたショコアの声が、温かな力となって仲間たちを包み込む。


「ふふ……弱くなる感触、ちゃんと味わって?」


キャラメリアが小さく呟くと同時に、敵の周囲に不穏な魔力が広がった。


「……癒しは後ろから。倒れさせません」


シスタルトが祈りの構えを取り、静かに戦場を見渡す。


――十体。


召喚された聖霊たちを前にして、レヴィンは不敵に口角を上げた。


「十体か……面白い」


剣を構え直し、その闘志を隠そうともしない。


「数を揃えたところで、意味はない」


ミラージュが短剣を逆手に持ち、影のように姿勢を低くする。


「まとめて叩き潰す」


アルベルトが大剣を振り上げ、重圧のような殺気を放った。


「――全部、射程内だ」


ジンが弓を引き絞り、狙いを定める。

そんな緊迫した空気の中で。


「え、ちょ、待って!? なにこの子たち……カワイイんだけど!」


フェリシアだけが、完全に予想外の反応を見せていた。

戦場に、ほんの一瞬だけ、奇妙な間が落ちる。



ナイトショコラが、真っ直ぐにミラージュへ踏み込んだ。

片手剣を正面に構え、騎士の矜持を込めて叫ぶ。


「《ショコラブレード》!」


剣身が光を纏い、一直線に振り下ろされる。

ミラージュは短剣で受け止めたが、衝撃が腕に伝わり、足元がわずかに滑った。


だが、そこで終わらない。

ナイトショコラは間合いを詰め、間断なく斬撃を重ねていく。


一撃、二撃。

光を帯びた剣閃が連なり、ミラージュは次第に後退を余儀なくされた。


その背後で、別の影が疾走する。


ジェラートだ。

地を蹴る音すら置き去りにする速度でレヴィンの死角へ回り込む。


「――《ジェラートピアス》」


ダガーが闇を纏い、背中へと突き出される。

レヴィンは反射的に振り返り、剣でそれを弾いた。


金属音が響く。

だが、ジェラートの攻撃は一度きりではない。


左右、上下。

流れるような連撃がレヴィンを追い立て、反撃の隙を与えなかった。



シュトレンが両手剣を振り上げる。


「《シュトレンクラッシュ》!」


全身の力を乗せた一撃が、アルベルトへ叩きつけられた。

アルベルトも大剣を構え、正面から受け止める。


二本の大剣が激突した瞬間、衝撃波が爆発するように広がった。

地面が震え、空気が軋む。


前線を支えるのは、二枚の盾。


ビスコルドとチョコガルドが肩を並べ、踏みとどまる。

アルベルトの《グランドスラッシュ》を盾で受け止め、続くレヴィンの《流星の一閃》も正面から防ぎ切った。


二体のタンクが壁となり、【星天の翼】のメンバーを守った。


「《キャンディアロー》!」


キャンディスが弓を引き絞り、レヴィンを射抜く。

一直線に伸びる矢が、確かな殺意を伴って迫った。


「《五の矢 貫》」


同時に、ティアも弓を放つ。

二本の矢が、左右からレヴィンを挟撃する。


「――ちっ」


レヴィンは《超加速》を発動し、回避を試みる。

だが、二方向からの射線を完全に切ることはできない。


一本が肩を掠め、鮮血が散った。

レヴィンが、初めて明確なダメージを受ける。


「くっ……」


「《ファイアストーム》!」


マジョレーヌが魔導書を掲げ、炎の嵐を解き放つ。

渦巻く炎が【流星の覇者】を包み込んだ。


「《リフレクトシールド》!」


大半の炎は弾かれたが、熱量のすべてを防ぎ切ることはできない。


漏れた炎が、ジンとミラージュを直撃した。


「《甘美なる力》《甘い防護》!」


ショコアが杖を振るい、【星天の翼】にバフを重ねる。

攻撃力と防御力が底上げされ、全員の動きが一段階鋭くなった。


《甘い誘惑》《粘つく呪縛》!」


キャラメリアの呪いが、【流星の覇者】を絡め取る。

速度が落ち、攻撃の重さが鈍る。

敵の動きが、はっきりと鈍化した。


「バフで相殺します」


フェリシアが【流星の覇者】のメンバーにバフを付与し、デバフを打ち消そうとする。

しかしミラージュが《神速》を発動し、速度低下を強引に無効化した。

圧倒的な速度で再び動き出す。


「《シュガーヒール》」


シスタルトの範囲回復魔法が発動する。

柔らかな光が広がり、【星天の翼】全員のHPが回復していく。


「ありがとう……!」


ステラがシスタルトと連携し、回復を回し続ける。二人のヒーラーが味方を支える。


「《トルネードランス》!」


フェリシアが風属性の範囲攻撃を発動する。

渦を巻く暴風が戦場を薙ぎ払い、聖霊たちをまとめて飲み込む。


ナイトショコラ、ジェラート、シュトレンの三体が、抗う間もなく宙へ放り出された。


「うわっ!」


身体が回転し、次の瞬間、地面に激突する。

鈍い衝撃音が連続して響き、三体のHPが一気に削られた。


追撃は止まらない。


「《ボルトストーム》」


ジンが弓を高く掲げ、弦を引き絞る。

次の瞬間、空気が震え、無数の矢が上空に展開された。


放たれた矢群は雨のように降り注ぐ。

広範囲を覆う矢の嵐が、倒れ込んだ聖霊たちを容赦なく貫いていった。


「《ウォールブレイカー》!」


アルベルトが狙いを定めたのは、前線を支える二枚の盾。

防御が高いほど威力を増す、破壊特化の一撃だった。


大剣が振り抜かれ、巨大な衝撃波が二体のタンクを襲う。

盾が砕け散り、ビスコルドとチョコガルドのHPが大幅に削られた。


「ぐっ……!」


衝撃に押し潰され、二体のタンクが膝をつく。

HPゲージが、目に見えて大きく削られていた。


「《流星の螺旋》」


レヴィンが回転しながら斬り上げる。

剣が螺旋を描き、巻き起こる斬撃の奔流がジェラートを捕らえた。


「うわっ……!」

ジェラートのHPがゼロになり、光の粒子となって消える。


「ジェラート……!」


ステラの叫びが、戦場に響いた。


間髪入れず、影が動く。


「《シルバーファントム》」


ミラージュがナイトショコラを攻撃後、透明化してターゲットを回避する。

そして背後から《シャドウスラッシュ》を発動した。

連続攻撃がナイトショコラを襲い、ナイトショコラのHPがゼロになる。


「すまない……」

ナイトショコラが光の粒子となって消える。


「《フロストバースト》」


フェリシアが詠唱を終えた瞬間、水と氷が混ざり合った魔力が爆発した。

冷気を孕んだ衝撃波が戦場を覆い、聖霊たちを一斉に呑み込む。


シュトレン、ショコア、マジョレーヌ。

三体の身体が瞬時に凍りつき、氷の檻に閉じ込められた。

凍結効果で三体は動けなくなる。


「《メテオスラッシュ》!」


アルベルトが地を蹴り、空中へ跳ね上がる。

その巨体が影となって落ちる瞬間、まるで隕石が降下するかのようだった。


凍結した三体へ向け、容赦なく叩きつけられる一撃。

着弾と同時に、凄まじい衝撃波が戦場を揺るがした。


シュトレン、ショコア、マジョレーヌのHPが、一気にゼロへ到達する。

三体は同時に光の粒子となり、静かに消えていった。


「みんな……!」


ステラの叫びが、虚空に溶ける。


残った聖霊は五体。

ビスコルド、チョコガルド、キャンディス、キャラメリア、シスタルト。


だが、全員が深手を負っていた。

十体召喚したはずの戦力は、すでに半分が失われている。


「まだ……諦めないよ……!」


ステラが歯を食いしばり、《ハイヒール》を発動する。

回復の光が広がり、仲間たちのHPが持ち直していく。


「焦らなくていい。呼吸を整えろ」


レヴィンが仲間に指示を出す。


「このまま押し切る」


ミラージュが短く頷いた。


五人が再び攻撃を開始する。

残った聖霊たちが必死に防戦するが、数的優位が失われつつある。

【星天の翼】が再び窮地に立たされた。


「みんな、諦めないで!」


ヒマワリが叫ぶ。まだ戦える。まだ負けていない。

しかし【流星の覇者】の圧倒的な力が、【星天の翼】を追い詰めていく。

最終決戦は、佳境を迎えようとしていた。


次は4/20 21時投稿予定

お楽しみに!

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