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離縁したら指名手配されました! でも大賢者に溺愛されたので何とかなります。  作者: りりきち
8章 大賢者に溺愛されたので、何とかなります。

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50/51

50 ガーデンパーティなのだ!

 そして戴冠式の翌日、魔王とソフィア国王の婚姻が発表された。

 

 それに伴い、ダンジョンとソフィア王国は、新しくソフィア連邦と名前を変えた。

 ソフィア王国の中でも、良き領主がいた場所はそのままの自治権が保たれ、悪徳貴族のいた場所は、国民による議会が置かれた。

 国には新しく、『千里鳩』という役職ができ、彼らは各自治区の運営が正常に行われているかを見張る仕事につく。


 貴族制度は撤廃され、ユナ国王は統治権を手放した。



***



 そして、リアナ共和国大統領と、北方大帝国皇帝を招いた晩餐会が、元ダンジョンで開かれていた。


 薄紫の空の下に、ガーゴイルやラミアがメイド服を着て、慣れない給仕に必死で取り組んでいる。



「戦い以外を知らなかった種族ゆえ、失敗はあるかもしれないが、許して欲しい」


 カフカがピスタチオカラーのドレスで人間式の礼をとった。彼女の隣では、揃いのピスタチオカラーのローブに身を包んだユナが同じく頭を下げる。


「まだろくな建物がなくて。ガーデンパーティで申し訳ないのだ」

「人間界では食べられない料理を用意させました。お二人のお口に合えばいいのですが」


 ユナがそう言って、目配せする。それを見て、メイドのガーゴイルが巨大な卵を小さく切り分けて皿にのせる。その上に、白いソースをかけて、4人の前に配膳した。


「コカトリスの卵を使った、ウフ・マヨネーズです」


 この場にいない執事の代わりに、ユナがメニューの説明をした。それを聞いた大統領が、おそるおそる手を挙げた。


「……あの、失礼なことをお尋ねします。コカトリスの卵って……食べても石になったりはしないですよね……?」


 それを聞いて、ユナはハッとした顔をして、隣に座るカフカの顔を見た。

 

「ああ、それは……どうでしょう。カフカ、何か分かるか?」

「ある程度の魔力があるなら問題ないのだ。完全に魔力のない存在には会ったことがなかったから分からない」


 それを聞いて、魔術師ではない大統領の顔から血の気が引いた。隣で、皇帝が卵をナイフで切り分けてひとくち食べる。


「問題は無いと思いますよ、大統領。食べた限りでは呪いや毒は感じられません。石にする力があるのは、成鳥のコカトリスだけなのでしょう」


 皇帝は冷静に言うと、また次のひとくちを口に運んだ。大統領は何度か目を泳がせて、それからナイフを手に取った。


「……あら、美味しいです。むしろ鶏の卵よりも濃厚なのですね」


「気に入っていただけて嬉しいのだ。他にもまだまだある。楽しんで欲しい」



***



 そして、振る舞われたワインのせいなのか段々と晩餐会は無礼講になっていく。


 すっかり口調も砕けた大統領が、ワイングラスを掲げた。ワインは、ほんのり紫がかったピンクの美しい色をしている。

  

「美味しいわ〜このワイン、何でできているのかしら」

「ふふ、マンドラゴラなのだ。爽やかな甘みがあって、魔族にも人気の品なのだ」


 カフカが言えば、これまた口調の崩れた皇帝が声を上げた。

 

「マンドラゴラ?! あの気持ち悪い見た目からは想像できないが……これは美味い。我が帝国にも流通させたい」


 そこをすかさず、ユナが恭しくやんわり断る。

 

「それはそれは、嬉しい申し出ですが……人間界のワインと違って、腐るのが早いのです。輸送に耐えられるものではなくて」

「そうか。……残念だ」


 皇帝は本当に残念そうに言って、残っていたワインを喉に流し込んだ。


 

「それにしても、魔族は魔物を食べるのですね」

「人間だって、豚や鶏を食べるではないか。同じなのだ」

「まあ……そう言われればそうね」


 大統領はワイングラスを机に置くと、ミノタウロスのミルクで作ったスイーツチーズをつまんだ。ふんわりと花の香りがして、濃厚過ぎないチーズは、彼女の好みによくあった。


「安心して欲しいのだ。今後も、リアナ共和国のダンジョンハンターの活動を禁止するつもりはない」

「……それは、どうして」

「人間界でも、動物が増えすぎて、人間の街に降りてきたら駆除するのだろう? こちらとしてもゴブリンが何千匹も増えたら困るのだ。魔石も、欲しければ持っていっても構わないのだ。ただ……」

「ただ?」

「我が国から、狩猟権を買って欲しい」


 なるほど、それは……筋が通っているような気がするわ。権利さえ買えば、自由狩猟区にしてくれるってことかしら。


「それに、これからソフィア連邦としてもアーティファクト採掘事業が始まる予定です。今後見つかったアーティファクトは、大陸全域の公共の発展のために研究すべきだと考えています」

「それは……他国の魔法の発展を促すことになるが、いいのか?」


 皇帝の疑問に、ユナは優しく微笑んだ。

 

 

「発展格差があるから、争いが起きるのです。我々は、自国民の安全を一番に願っている。違いますか?」


 

 その言葉を聞いて、皇帝も、大統領も、口をつぐんだ。ユナは笑顔を崩さないまま、こう続ける。



「まあ、政治の舞台を退いた王の言うことです。これから、ソフィア連邦議会から公式なお話はさせて頂くことになるでしょう。今夜はこんな話は忘れて、楽しんでください」

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