新たな一手
ノック音が聞こえた。
「失礼します。黒鷹甚三郎です。こちらに二人の男が来てませんか?」
「いや、さっき来ましたが反省した様子で帰っていきましたよ。」
「そうですか。分かりました。また来ます。では、失礼致しました。」
素直に黒鷹はその言葉を信じ、帰っていった。
ガサゴソと金融庁の検査みたいに捜されると思ったが、ここは来翔の店である。店の主に従うのだ。
もしかしたら、黒鷹甚三郎は礼儀正しい人物なのではないか、そう思うようになった。
来翔は、NPO法人の方が騙していると思い始めた。
「よし、こうなったら料理修行の為、黒鷹グループの他の店で働くとしよう。」
来翔は料理修業という名目で潜入しようとした。
「よし、二人共、黒鷹は去ったぞ。」
「師匠、俺達どうすればいいですか?」瑛士は尋ねた。
「俺は黒鷹グループへ潜入捜査する。だから、お前達に1通りの作り方を教える。」来翔は二人に言った。
そして、準備をすると一人の男がドアを叩いた。
「おーい。来翔、来たぜ。」二代目坂本龍馬だ。
「これは坂本さん、どうも。今しがた、黒鷹甚三郎が来ましたよ。」来翔は話し掛けた。
「こちらの二人は?見掛けなかったが。」
「こちらは本日付けで弟子となった人達です。」
「どうも。俺は東崎瑛士です。」瑛士は頭を下げる。
「東崎!あの創業者の息子さんですか?」
「ええ。でも、今まで不良でした。父親のようにはなりたくないと思っていました。しかし、特製燻製カツ丼を食べて改心しました。父の商売を継ごうと。」
「そうか。なら頑張って欲しい。この店は宝や。」
「どうも。初めまして。出雲修平です。自分も師匠の料理に感服いたし、瑛士先輩と同じように弟子入りすることにしました。」
「ほう。この2人が入れば、この店も安泰だ。」
「あの、坂本さん。実は…」
「どうした?おんし。何かあるなら言ってみてくれ。」
「実は、黒鷹グループに就職したいと思います。」
「何を言っちゅうがじゃ。あそこはブラックじゃき。」
もはや、本当に坂本龍馬気取りである。歴史好きには怒られそうな感じである。
「それでも、黒鷹甚三郎の態度には丁寧さを感じ、本当にブラックなのか耳を疑っています。」来翔は告げた。
「よし。なら良かろう。潜入捜査だ。その前に我がNPO法人で称号を授けてもらおう。」
来翔はそのNPO法人大日本労働監視機構に加入することとなった。




