22話 鉄の鎖を断つ
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深い夜が明けようとする、薄暗い監獄の底。
ギランの慟哭が静まり、代わりに決然とした沈黙が満ちていた。
「小僧…いや、若。俺に、もう一度戦う許可を。この錆び付いた命、すべて貴方に預けましょう」
床に額をつけたままのギランに対し、アッシュは無言で頷いた。
背負っていた薪の束から、布に包まれた父の真剣を静かに抜き放つ。
「……それは大将の剣か…」
「そうだ。俺はこの剣を手にした時に誓った。必ずエルダンの栄光を取り戻し、エルダンの民を救うと。」
ギランはアッシュの姿に、大将の面影を重ねた。そして、自分が再び命を懸けられる主に出会えたことを、心の底から噛み締めた
「ギラン、……夜が明けたら、採掘場の広場で合図を出す。あんたは仲間たちをまとめておいてくれ」
数時間後。
朝の冷たい空気が流れ込む採掘場の広場に、監視兵たちの鞭の音と罵声が響き始めた。
「おい! さっさと並べ、この家畜どもが!」
監視兵が、うなだれる奴隷たちの背を蹴り、無理やり整列させていく。
だが、最後尾に立つギランが放つ静かな闘気が、周囲の同胞たちにじわりと伝播していた。
監督官が点呼を始めようとしたその時。
一段高い岩場の上に、ボロ布を脱ぎ捨て、父の真剣を高く掲げたアッシュが姿を現した。
「……なんだ、あのガキは! 捕まえろッ!」
監視兵たちが色めき立つが、アッシュの声がそれよりも速く、鋭く響き渡った。
「目を覚ませ! 鎖に繋がれ、家畜として死ぬのがお前たちの望みか!?」
奴隷たちの視線が一斉に上を向く。アッシュは首元の銀の首飾りを鷲掴みにし、昇り始めた朝日にかざした。
「僕はカイゼル・レジスの息子だ! 父が取り戻そうとしたエルダンの栄光を!!共に立ち上がる者は、その手にある槌を、今こそ武器に変えろ!!」
「……おおおおおっ!」
地鳴りのような咆哮。
真っ先に動いたのはギランだった。
彼は監視兵の振るった鞭を素手で掴み取ると、そのまま兵士を軽々と放り投げた。
「若に続け! 我ら救国軍の火は、まだ消えてはおらんぞ!!」
鉄と泥の地獄だった採掘場が、一瞬にして戦場へと変わった。
アッシュが掲げた銀の光に導かれ、虐げられていた巨漢たちが一斉に反旗を翻した。
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