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全部奪われた俺が、ゼロから王になる話  作者: 月城リク


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2話 紅蓮の夜、断崖の先へ

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深い静寂を切り裂いたのは、地を這うような不気味な音だった。


「……っ!?」


深夜、アッシュは耳元を震わせる振動で目を覚ました。


規則正しく、重く、速い――馬の蹄の音だ。


跳ね起きると、窓の外はすでに不自然な赤色に染まっていた。


悲鳴を上げる暇もなかった。


薄い木の扉が、凄まじい衝撃とともに蹴破られた。

 

暗がりに浮かび上がったのは、見覚えのあるこの国の紋章を胸に刻んだ、冷徹な鉄の鎧。


「……いたぞ。逆賊の種だ。生かしておくな」


冷酷な声。アッシュが母を庇おうと前に出た瞬間、ぎらりと銀閃が走った。


「あ……っ!」


脇腹に焼けるような熱い衝撃。地面に叩きつけられ、ドクドクと溢れ出す熱い液体にアッシュは目を見開いた。


「アッシュ!!」


エレンが叫び、息子に覆いかぶさる。


その背中を、兵士の剣が容赦なく深く切り裂いた。


崩れ落ちる母。


兵士は冷酷にアッシュを見下ろし、止めを刺そうと剣を振り上げる。


「死ね、呪われた血族め」

振り下ろされる刃。死を覚悟し、アッシュが強く目を閉じたその時――。


「……まだ、だ。この子は、死なせない……!!」


事切れたと思われた母が、最後に力を振り絞り、兵士の足に必死に縋り付いた。


驚愕した兵士が体勢を崩す。その隙を逃さず、母は全霊の力でアッシュを外へと突き飛ばした。


「走りなさい……アッシュ! 振り返っちゃダメ! 行きなさい!!」


「母さん! 母さん!!」


泣き叫ぶアッシュの視界で、母が兵士に踏みつけられるのが見えた。だが、母の眼差しは「生きろ」と強く語っていた。


アッシュは脇腹の傷を片手で押さえ、溢れる血を滴らせながら、転がるように夜の森へと駆け出した。


幸いにも、刃は急所を逸れていた。だが、背後からは追っ手の蹄の音が、死の足音となって迫ってくる。


「なんで……なんで僕たちが殺されなきゃいけないんだ!」


暗闇の中、木の枝で顔を切り、石に躓きながらも、ただがむしゃらに、途方もなく逃げ続けた。


どれくらい走っただろうか。


出血のせいか、次第に意識が朦朧とし、足の感覚が消えていく。


不意に、視界が開けた。

 

だが、そこは逃げ道ではなく、深い霧に包まれた断崖絶壁だった。


「あ……」


止まろうとしたが、足元の土が脆く崩れる。


「うわああああああ!!」


アッシュの体は夜の闇へと、奈落の底へと放り出された。


叩きつけられる風。そして激しい衝撃。

そのまま、少年の意識は深い暗闇に沈んでいった。

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