表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全部奪われた俺が、ゼロから王になる話  作者: 月城リク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/27

17話 荒野の独歩

読んでいただきありがとうございます。

ブックマークしていただけると励みになります!

石造りの高い城門を抜け、アッシュは背後に王都の喧騒を置いた。

目指すは、バルトが言っていた西の岩山地帯。


そこには、数多あまたの同胞たちが。救国軍の生き残りが家畜のように送り込まれているという巨大な採掘場がある。


道は次第に険しくなり、人影もまばらな荒野へと変わっていった。

アッシュは、父の真剣を背負い、一歩一歩踏みしめるように歩く。


王都の路地裏で見た、泥にまみれた同胞たちの姿が、まぶたの裏に焼き付いて離れない。


(今は……まだ、何もできない)


拳を握りしめると、三ヶ月の修行で硬くなった手のひらが痛んだ。

夜、冷たい風が吹き抜ける岩陰で野宿をしながら、アッシュは火をかずに「本」を開いた。


月明かりの下、父が遺した指南書を指でなぞる。


バルトとの実戦稽古を経てから、この本に記された難解な図解が、少しずつ「動き」として脳内に流れ込んでくるようになっていた。


父・カイゼル大将が、なぜこれほどまでに理知的で、かつ峻烈しゅんれつな武を磨き上げたのか。


(父さんも……あんな風に虐げられる民を見て、この剣を振るったのか)


この本に記された一つひとつの型は、単に敵を倒すためのものではない。


多勢に無勢の絶望的な状況を覆し、圧倒的な武をもって民に「希望」を見せるための光なのだ。


アッシュは立ち上がり、静寂に包まれた荒野で剣を抜いた。

月光を弾く白銀の刃。

風を切り、土を蹴り、図解の動きを体に刻み込む。


一振りごとに、迷いは削ぎ落とされ、静かな殺気と使命感が研ぎ澄まされていく。


「待っていろ……。必ず、その鎖を断ち切ってみせる」

 

三日後。

乾いた砂塵の先に、天を突くような巨大な岩の壁が見えてきた。

風に乗って聞こえてくるのは、絶え間なく響く重い鉄槌かなづちの音。


そこが、地獄の入り口。

アッシュが「軍」を作るための、最初の試練の場だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

面白いと思っていただけたら、評価やブックマークぜひお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ