表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全部奪われた俺が、ゼロから王になる話  作者: 月城リク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/27

11話 英雄の血脈

読んでいただきありがとうございます。

ブックマークしていただけると励みになります!

静まり返った小屋の中に、老人の嗚咽だけが響いていた。


アッシュは、首飾りを握りしめたまま動けなかった。


「……じいさん、しっかりしろ、母さんを知ってるのか?なんで泣いてるんだ」


しばらくして老人は震える手で顔を拭い、ゆっくりと顔を上げた。


その瞳には、深い悲しみと、それ以上に強烈な「驚喜」の色が混じり合っていた。


「……生きて、おられたのか…エレン様が……あのお方が……そして、その御子が、今、私の目の前に……」


信じられないものを見るかのように老人の視線が、アッシュへ向く。


「小僧……いや、アッシュ。お前、自分の父親が何者か聞いておるか」


「……優しい人だったって。困っている人を放っておけない、ただの兵士だって。戦地で死んだって……それだけだ」


老人は静かに鼻を鳴らした。


「……優しい人、か」


その目が変わる。


「確かに、民にはそうだった。だが、あのお方はただの兵士ではない。かつて、この大陸には統一された一つの国があった。エルダン王国だ。」



「誰もが平和に笑って暮らせてた輝かしい時代…お前の父も、母も……そしてお前も、本来はその国の民だ」


アッシュの目が、わずかに揺れる。


「だが今は違う。国は分かれ、その民は各地に散らされた。そして――その者たちは今どこの国でも虐げられ、家畜以下の扱いを受け、奴隷として扱われている」


アッシュの脳裏に、街の光景が蘇る。


鎖に繋がれた人々。


虚ろな目。


「……あれは」


思わず、言葉が漏れる。


「……あれが、そうだ」


老人が静かに頷く。


「あの者たちは、かつて同じ国に生きた民。お前の父と、同じ血を引く者たちだ」


言葉が、突き刺さる。


「……そんな」


否定できない。


あの光景を、見てしまったから。


「その地獄を終わらせるために」


老人の声が、低く響く。


「立ち上がった者がいる…お前の父だ」


息が止まる。


「名は――カイゼル・レジス。志ある者たちを束ねた、救国軍の大将。バラバラになった諸国を再び一つにし、すべての民を解放するために戦った」


囲炉裏の火が爆ぜる。


「そのあまりに巨大な志のために、その命を燃やし尽くしたお方なのだ。そしてその首飾りは救国軍大将の証でもあった。」


静寂。


アッシュは、何も言えなかった。


手の中の首飾りが、わずかに震える。


母が一度も口にしなかった父の真実。それは、自分の想像を絶するほど巨大な存在だった。


「……父さんが……軍の大将?」


アッシュは自分の手を見つめた。

 

これまで「優しい兵士」だと思っていた父が、一国の運命を背負うほどの人物であったという事実。


その現実感が湧かず、ただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

面白いと思っていただけたら、評価やブックマークぜひお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ