22—しげき兄ちゃんの物語 4 <あおいちゃん、ブドリ君にあう>
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《なんで”水田さん”なのだろう?》
あおいちゃんは隣の市の“ブドリ君”の実家、水田家の前に来ていた。水田さん家の表札には『宮澤、水田、武鳥』の三つの名字が並んでいた。
さきほど、近所の交番で
「武鳥さんのお宅は何所ですか?」、
と聞いたところ、「ああ、水田さん家ね。」と、お巡りさんにいわれて案内された。
水田さん家の前でお巡りさんは、
「ブドリ君によろしくね。」
とフランクに言っていた。だいたい、お巡りさんが家の前まで案内してくれるというのも少しおかしい。
水田さん家の玄関前や屋根には数羽のカラスがたむろしていた。
《《カラス屋敷か?》》
とあおいちゃんもゆかりちゃんも心の中で突っ込みを入れた。さらに、水田さん家の前でお巡りさんはカラス達に手を振っていた。カラス達もお巡りさんに羽根を振って挨拶していた。 …やっぱりおかしい、変だ。
お巡りさんの案内で訪れたおかげか、水田さん家の玄関前や屋根にいるカラス達に威嚇されることはなかった。しかし、カラス達はじっとこっちを見ている。サ・ガード・カラスだ。なかなかの迫力だ。しばらくして玄関の扉が開き、若い男性が出て来た。
「え〜と、ブドリです。いらっしゃい。お待ちしてました。」
「はい。三島しげきと妹のゆかり、そして近所のあおいちゃんです。今日は時間を空けていただきありがとうございます。」
「まあ、玄関で立ち話もナンだから、おはいりください。」
「ありがとうございます。これ、つまらないものですが。」
「手みやげなんて良いのに。え〜と。このヒヨコまんじゅうはカラス達に分けて上げても良いですか?」
「…はい。問題ありません。」
ゆかりちゃんが微妙な顔をしている。カラスに齧られるヒヨコまんじゅうを想像しているのだろうか?
三人は客間へと案内された。客間にはブドリ君の他に一羽の頭に白い毛の生えたカラスがいた。
「彼はカー太ントいう名前で、ほぼ人の言葉を理解します。でも喋れないので秘密は守られますからご安心ください。彼も同席させたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい。わかりました。」
「では、早速ですが、本題にはいりましょう。だいたいの話しは『ミヤサワ君』から聞いております。」
そこでゆかりちゃんが尋ねた。
「ミヤサワ君ってどなたですか?」
「ミヤサワ君はだいぶ前に亡くなった私の祖父です。狭間の世界と現世を行ったり来たりしてます。あおいちゃんは狭間の世界で会っているよね?」
ゆかりちゃんは頭の上に大きな『?(クエスチョンマーク)』を浮かべた。
「はい。狭間の世界でお会いしました。緑のとんがり帽子のファンキーなおじいさんですよね?」
「そうです。」
と、肯定しつつ、ブドリ君は『ファンキー』という表現に苦笑した。
「あの地震による地滑りの時に私はあの人に教えられて、埋まりかけていたあおいちゃんをカラス達と一緒に見つけ出し、消防の人に救助していただきました。」
「あの時は本当にありがとうございました。本当にあの時は死ぬかとおもいました。皆様のおかげで、まだ生きています。」
《まあ、実際、死にかけていたんだけどね。だから、狭間の世界に行っていたんだろうね。》
とブドリ君は思った。
ゆかりちゃんは思った。
《う〜ん。なんか話しがかみ合っている。狭間の世界は本当にあるみたいね。》




