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25 ぐーたら令嬢、従者を得る

入学準備をすべて終えたところで、ヘスマンがすこし出しづらそうに一通の封筒を差し出してきた。

「お嬢様本人に、書いていただく物です」

「・・・なにをかくの?」

まだ私は字を書けない。入学が決まり、公爵の許可がおりてやっと読み聞かせしてもらえるようになったのだ。ましてや書くことなんて、練習もしていないしやったことがない。それはヘスマンも十分承知のはずだ。なのに「書け」と言うのなら何か意味のある物なのだろう。

「名前です。・・・連れて行く、従者の」

 少し不安げに揺れたその瞳に、私はすべてを悟った。

 差し出された封筒を手に取って、ヘスマンを見上げる。

「ねえ、へすまん」

「はい」

「じゅうしゃって、まえよんでもらったほんにでてきたみたいなひとだよね」

 今まで読んでもらってきた本たちが詰まった棚を指す。つい最近読んでもらったのは私のような令嬢が主人公の、シンデレラストーリー。彼女のそばにはいつも従者が控えていて様々なことを手助けしていた。

 ヘスマンは何の本を指しているのか理解して、頷いた。

 じっと、その目を見つめる。穏やかな沈黙が落ちた。

「・・・いつも、味方でいる人」

 私の声に彼が息をのんだ。

「味方で、いてくれる?」

「いつまでも」

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