19 ぐーたら令嬢、状況を整理する
喜びが湧く。
ついに、世話係の誰よりも権力がありそうな、それでいて一番攻略の難しそうな人を、味方につけたかもしれない。
同時に、懐かしさも感じた。この優しい目が偽物だったら嫌だと、心の底から思った。
私は抵抗をやめて、力強い腕に体を預ける。
糸口は掴んだ。活かすも殺すも、私次第だ。
情をうまく使うには、うまく振る舞うことだ。そのためには、運に任せてはいられない。
すでに2度死んで、2度生き返っている。上手く事を運ぶには、何よりも「今」のオフィーリアを完璧に演じなければいけない。
私は情報の整理をしてみることにした。
今回のオフィーリアはまだ何も知らないはずだ。
出会った人間は叔母、公爵夫妻、世話係3人のだった5人だけ。どの人物からも部屋の外の話はほとんどしてもらえたことがない。世話係たちには何らかの箝口令が敷かれているのか、外の事について尋ねると困った顔をされる。
それから、絵本なんかも与えられたことがない。これについては、単にまだ話せもしないような子供に与えるには不適切だという理由かもしれないが。
ともかく、オフィーリアはその名の通り箱入り娘なのだ。
毎日会うのは世話係たち。この3人は恐らく味方側だ。女二人はほぼ確定。男もこの間の焦り具合を考えるとかなり私に情が移っているように見える。
一方で、公爵夫妻には叔母と話し合いが持たれた日以来会っていない。本来、誰よりも時間をかけて取り入りたいところだが、前回のことを思えばそう簡単には会ってもらえないだろう。
これからの扱いは全く見えない。
今のところ、美味しいごはんと綺麗な服を与えられてすくすく成長している。しかし前回も、ご飯は美味しかったし服も綺麗だった。
どう転んでもおかしくないのだ。
だから、せめて目を光らせておく。何が起きても動けるようにしておく。
私は人生で初めて、備えあれば憂いなしを現実のものとして理解したのだった。




