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17 ぐーたら令嬢、成長する

 叔母は去った。ここからは、私一人の力で生きていかなければいけない。

 気合を入れ直すが、まだ体は一歳にも満たない小さな赤ん坊。できることには限りがある。だからといって、何もせずにいるのは違う。がむしゃらでも、無駄でも、足掻かなくては。

 最初のゴールは、あの部屋に軟禁されないこと。

 そのために今できることは、味方を作ることだ。

 前回は赤ちゃんという立場にかまけて食っちゃ寝していたので、愛想も何もなかった。赤ちゃんの可愛さは人間の本能に訴えるものだと聞くが、それでは流石に可愛いも何もない。だから今回は、とりあえずよく笑っていよう。

 それから、少し手がかかる子を目指す。必要な世話だけすればいい、なんてのは楽だろうが印象に残らない。負担になりすぎない程度に泣いたりして見せて、「自分が育てた」という気分にさせたい。

 情は強い。どれだけ公平になろうとしても、情を捨てきれない人間は多いものだ。だからこそ、うまく利用したい。

 前世で運と愛想だけを武器に生きてきた私が、初めて立てた戦略。

 リスクマネジメントもろくにできていないし、想定も甘い。きっとそう上手くはいかなだろう。

 それでも、今の私の全力だ。

 好きに生きるための第一歩。まずは、ここから。


 それからの私は凄かった。ひたすら笑顔で、時々控えめに泣いてみたりして、とにかく世話係にやってきた人達の気を引き続けた。

 日々係は変わったし、中には興味なさげに見てくる人もいたので苦労したが、子供の笑顔、というのは絶大だ。朝は無表情だった人たちが夕方には満面の笑みを浮かべて帰っていく。もちろん全員というわけではなかったが、概ね良い成果と言える。

 やがて世話に来る人間が固定され始めた。

 3人のローテーションで、それぞれ全くタイプが違う。あまりにキレイに分かれているので、RPGゲームのパーティーを思い出したぐらいだ。

 1人目は若い女の子。最初から私に好意的で、可愛い可愛いと時間の限り眺めたり触れたりされた。心強いが、屋敷内での立場は高くなさそうだ。

 2人目は女性。何人か子供がいるようで、手慣れた様子で世話してくれる。抱き方も、ミルクの飲ませ方も一番うまい。時々懐かしそうな様子を見せるので、子どもたちを思い出しているのかもしれない。発言力もありそうだし、味方にしておきたい人物だ。

 3人目は初老の男性。実はこの男性がかなり厄介なのだ。明らかに公爵より、というような態度をとる。私が公爵の不貞でできた子だと承知しているようで、感情の読めない目で見下される。笑顔も愛嬌も、今のところ効果がない。一言、私が教育する価値のある子供だと言ってもらえるとすごく助かるんだけど。

 こんな3人に世話されながら、私は着実に成長していた。

 正直、メンバーに面白みはまったくない。年功序列も男性優位も明らかな身分社会ではこんなものだ。そして私は、それに立ち向かわなければならないのだ。

 できる限りものを考えたり愛嬌を振りまいたりして過ごしているので、女神様からもりった黒い靄には一度も襲われていない。私にしてみれば素晴らしい進歩だ。

 体も少しずつ成長している。

 動けるようになったら、情報収集を始めよう。

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