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13 ぐーたら令嬢、地獄にて

 白い部屋は私の居場所になった。牢に比べれば天国のようなものだと思った私の気持ちは簡単に裏切られる。今やこの部屋は地獄だった。

 毎日部屋を訪れては、私をいいように痛めつけて去っていく男。増えていく傷から流れた血で、白かった部屋はどんどん赤黒く汚れていく。

 なぜこんなことになっているのかもわからず、先の見えない苦痛を一方的に与えられる。酷く苛立たしげに鞭を振るう日もあれば、キラキラと嬉しそうな顔で爪を剥がれる日もあった。私はただのモノだった。

 じわじわと死んでいくのがわかる。寧ろ、死を望んでいる自分がいる。なのに私はなかなか死ねなかった。そのあたりの調節が異様にうまい男のせいか、溜め込んだ脂肪が変に私を守るせいか。もう、どうでもいいような気がした。


 ある日、肩を剣で刺された。

 血がどんどん流れる。

 男の振るった鞭が背中に当たった衝撃で、座っていた姿勢が崩れた。

 床に伏す。血が絨毯を染める。早く起きねば怒られる、と力を入れようとするのに、起きられない。暑くないのに汗が出る。心臓がどくどくしている。息が、くるしい。

 これが死だ。

 全身が使い物にならなくなっていく。

 男に蹴りあげられて、体が仰向けになる。

「もう終いか」

 呆れたような顔。血のこびりついた白い服と、襟についた鷲の紋章。

 最後に、人の死を前にしているとは思えないほど無機質な目を捉えて、私はこと切れた。

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