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『最初で最後の水戦争(ウォーターウォー) ~ブルーマーズ最後の一滴~』  作者:


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第13話 起動条件


 ブルーマーズ再生計画。



 進捗率。



【99.999999%】



 アクアはその数字を見つめていた。



「あと少し……」



 本当にあと少しだった。



 ジョウ博士は完成させていた。



 理論も。



 設計も。



 技術も。



 全部。



 足りなかったのは。



 最後の一滴だけ。



 リアが端末を操作する。



 巨大なホログラムが展開された。



 ブルーマーズ全体図。



 干上がった海。



 消えた河川。



 枯れた湖。



 そして中央。



 巨大な施設。



【海洋再生プラント】



 アクアは息を呑む。



「これがお父さんの……」



 リアが頷く。



「ジョウの夢よ」



 その施設は巨大だった。



 もはや研究施設ではない。



 都市。



 いや。



 文明そのものだった。



「これ一つで?」



「海を再生する」



 リアは即答した。



「正確には」



「海を再生する仕組みを再起動する」



 アクアは画面を見る。



 理解できない。



 だが。



 ジョウならやりそうだった。



「どういうこと?」



 リアは説明を始める。



「ジョウは気付いたの」



「海はただの水たまりじゃない」



「循環そのものだと」



 雲。



 雨。



 川。



 湖。



 地下水。



 そして海。



 それら全てが繋がっている。



「だから海だけ作っても意味がない」



「惑星全体を動かさなきゃいけない」



 アクアは頭を抱えた。



「やっぱりお父さん頭おかしい」



 リアが吹き出した。



 二人は少しだけ笑う。



 ジョウらしい。



 本当に。



 その時だった。



 ホログラムが変化する。



【起動条件】



 赤文字。



 画面が切り替わる。



【天然飲料水サンプル投入】



【遺伝子情報解析】



【水循環再構築開始】



 アクアは固まった。



「遺伝子?」



「そう」



 リアは静かに頷く。



「天然飲料水には」



「本来の水循環情報が記録されている」



 アクアは意味が分からなかった。



 だが。



 ジョウなら。



 そういう発想をする。



 何となく納得してしまう。



 リアは続けた。



「最後の一滴は鍵」



「浄水システムは扉」



「そしてブルーマーズそのものが金庫」



 アクアはペンダントを握る。



 この一滴。



 たったこれだけで。



 世界が変わる。



 信じられない。



 だが。



 信じるしかない。



 ジョウを。



 父を。



 その時。



 警報が鳴った。



【緊急通信】



 リアの顔色が変わる。



 映像が映る。



 世界各地。



 燃える給水施設。



 崩壊する貯水庫。



 避難する人々。



 Water Warはさらに激化していた。



 そして。



 最後の映像。



 アクアは息を呑んだ。



 巨大スクリーン。



 そこに映るグレイ・マーチャント。



 全世界へ向けた演説。



「ブルーマーズ市民諸君」



 グレイは笑っていた。



「天然飲料水が発見された」



 アクアの顔から血の気が引く。



 知られている。



 もう。



 世界中に。



「そして」



 グレイは続ける。



「その保有者は世界の敵である」



 静寂。



 リアが舌打ちした。



 最悪だった。



 今まで秘密だった。



 だが。



 もう違う。



 アクアは世界最大の標的になった。



 グレイは最後に言う。



「最後の一滴を持つ者を見つけた者には」



 一拍。



「一億リットルを支払う」



 世界がざわめく。



 人々が動く。



 兵士も。



 賞金稼ぎも。



 政府も。



 企業も。



 全てが。



 最後の一滴を求め始める。



 アクアは理解した。



 逃げ場はない。



 もう。



 世界中が敵だ。



 だが。



 それでも。



 アクアはペンダントを握りしめた。



「だったら」



 一歩前へ出る。



「世界が追い付く前に完成させる」



 リアが頷く。



 ジョウが残した夢。



 ブルーマーズ再生計画。



 その最終段階が。



 今。



 始まろうとしていた。

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