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領都に帰還して騎士団本部や冒険者ギルド、そして解体所での用事を済ませてから屋敷に戻った俺は、例によって既に用意されていた風呂に入ってサッパリすると、武具の手入れを行うために自室に入っていた。
今日は久々に自分自身で派手に戦ったし、装備の手入れをしっかりしておかないとな。
……もっとも、俺には【風の衣】があるから埃すら付かないし、武器も全部恩恵品だからな。
汚れを落とすくらいしかやることはない。
「後はポーチとかくらいだけど……これは後で落ち着いてから工房にメンテに出した方がいいかな?」
素人の俺が出来ることといえば、金具が緩んでいないかとか縫い目が解れていないかを調べるくらいだろう。
もっと細かく出来たらいいんだが……余計なことをして逆に傷めてしまったら元も子もないしな。
出来ることだけやって、後はちゃんとプロに任せよう。
「まぁ……パッと見て気付くようなこともないけどね。とりあえず先にコッチをササっと片付けちゃうか」
俺はテーブルの上にポーチの中身を出していき、各部位のチェックを行っていく。
【風の衣】と【琥珀の盾】があるから、俺の装備には外部からのダメージはほぼほぼゼロではある。
ただ、ポーチの中身を取り出す時ってのは大体戦闘中で、決して乱暴には扱っていないつもりではあるが、丁寧に扱っているかと言われたら即答は出来かねる。
「ふむー……? とりあえず開閉で引っかかったりはしないしね。どこも傷んだりはしてないのかな?」
ポーチを何度か開け閉めして、動きに引っかかる箇所がないかを確かめていくが、差し当たって問題はなしだ。
穴が空いたり破れたり……そもそも汚れすら付いていない。
「留め具の穴も広がったりしてないし……どこも異常は……おや?」
グルグル回したり逆さまにしたりして色々見ていた俺は、ふと違和感を覚えて手を止めた。
何が引っ掛かったのかな……と、改めてじっくり見ていくと。
「……これかな?」
ポーチの蓋を止めるベルトの留め金の一部に、小さな歪みを見つけた。
蓋を開けるときに上に引っ張っていたのか、上に向かって歪んでいる。
まだ小さな歪みだし、これで開閉の妨げになるようなことはないだろうが、もし必要になった時に引っかかって開けられなかったりしたら大変だ。
とりあえず、まずはココだな。
俺はポーチを机の上に置くと、部屋の棚から紙とペンを持ってきて破損個所を記していった。
◇
コンコンと部屋のドアを叩く音に、作業する手を止めて顔を上げた。
「どーぞー」
ドアに向かってそう言うと「お邪魔するわよ」と言いながらフィオーラが部屋に入って来た。
「おや? フィオさん……。もう下の方はいいの?」
手入れに夢中になっていつの間にか時間が経っていたのか……と窓の外に視線を向けるが、まだまだ日は落ちていない。
フィオーラが仕事を終えて戻って来る時間ではないだろう。
仕事は終わったのかと訊ねると、フィオーラは肩を竦めている。
「今日はもうやることがないのよね。貴女の隊が獲って来た魔物の素材の状態を調べる必要はあるのだけれど……」
「あぁ、もう研究所に運ばれたんだね。その言い方だとまだ完了してないんだね」
「ええ。とりあえず軽く見た限りでは目立った異常はなかったけれど、中途半端な解析では貴女も困るでしょう? 薬品に浸けたり……二日ほど時間が欲しいわね。そのために今研究所の機材と机をいくつか使ってしまっているのよ。その分作業出来るスペースがなくなっているの。だから後の作業は職員に任せて私は一足先に上がって来たわ」
フィオーラはそう言うと、机の上に広げている恩恵品を手に取った。
「手入れね? 大して傷んでもいないでしょうけれど、私がやってあげるわ」
いつもより早い時間にこちらに戻ってくることになったから、どうやって過ごそうか迷っていたのかもしれない。
椅子を持って来もせずに、立ったまま作業を始めてしまった。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・1枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




