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「くそっ……なんで俺たちが……」
「……仕事を終えて来たってのによぉ」
「うるせぇっ! 黙って仕事しねぇか!!」
冒険者たちはぶつくさ言いながらも、部長の指示に従って台の上に広がったクマの胃液をヘラで端に集めている。
何でも大型の魔獣の胃液は、錬金の素材の作成に使われたりするそうだ。
この強化された胃液も当然そうなんだが、より高性能な素材の作成にも使えるらしい。
一体ずつ胃を開いていたが、別の個体の分に取り掛かる際に台を洗ったりしないから不思議に思っていたんだが……このためだったか。
「他の部位でも同じようにやるの?」
その作業を眺めながらふと湧いた疑問を、指示を出している部長に訊ねた。
「今回の素材だと……恐らくないでしょうが、体の状態によって使える部位やその扱い方も変わってくるんですよ。中には敢えて毒を使って仕留める場合なんかもありますよ」
「毒を……?」
「ええ。毒に対抗する物質を体内で生成したりするんですよ。それが薬品の素材になったりするそうです。まあ……その辺の詳しいことはフィオーラ様辺りの方が詳しいんですがね」
「あぁ……なるほどねぇ」
毒を分解するのは……肝臓だよな?
そこが通常の状態よりも活性化しているとかそんな感じか。
誰かから、仕留め方で素材の状態が変わるってことは聞いたことはあるが、それはあくまで皮膚や筋肉に関してだった。
よくよく考えると、内臓だって状態が変わるよな。
んで、普段から薬品に使ったりしているのなら、成分が変わることで使い道も変わったりするのも当たり前の話だ。
「薬物を使うんで騎士団に届けが必要になりますから、もし副長が必要になった時は団長方に伝えると早いかもしれませんね」
「ふむふむ」
「今回のクマは変化があるのは胃袋周りだけでしょうが……念のため他にも見ておきましょう」
「そうだね……お願いするよ」
とりあえず胃の中は見てもらったしこれで十分だとは思うが、彼が言うように念のためだ。
「おいおい! 隊長、もう胃の中を見たし俺たちはいいだろう?」
「まだ明日が残ってるんだし、ここらで体を休めようぜ?」
今の話が聞こえていたんだろう。
部長からさらに手伝いを命じられるかもと思ったのか、慌てて隊員たちが声を上げだした。
「まぁ……そうだね」
単にここの作業をしたくないだけなのかもしれないが、彼らが言っていることももっともだ。
騎士団の隊員たちと違って、彼らは街に帰還した時点で今日の任務は終了しているわけだしな。
わざわざ外で酒を買ったのに後回しにしてここまで来て、さらにまた残業……ってのは少々酷だろう。
俺は部長を見て「どうだろう?」と訊ねると、彼は「やれやれ……」と首を横に振った。
「人手が欲しいのはやまやまですが……ここから先は慣れが必要な部位になりますし、仕方がないですね」
その言葉に、冒険者たちがホッとしたような表情を浮かべた。
彼の上司でもある支部長のカーンには結構ウチの冒険者は普通に接するんだが……解体とか直接関わる機会がある場所だけに、何となく頭が上がらない様子だ。
やはり役職よりも、現場に出て来る人間の方が強いのか……。
「よし……回収出来たな。お前たち、ご苦労だったな」
俺と一緒に作業を眺めていた部長だったが、作業が完了すると彼らの下に行き、肩を叩きながら労っている。
労う……と言うには少々叩く力が強すぎる気もするが、最初現れた時はノコギリを突き付けて来たし、こんな人間なのかもしれない。
「ただで手伝ってやったんだから、この埋め合わせは何かで頼むぜ」
冒険者たちが道具を返しながら溜め息交じりにそう言っているが、部長は「おう!」と一言だけ答えると、笑いながら道具を受け取っている。
……これは多分スルーされそうだな。
俺は彼らのその様子を眺めながら、そんなことを考えていた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・1枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




