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「よいしょっ!」
そろそろクールタイムも明ける頃だし、尻尾を地面に突き刺して体勢を維持する準備も出来たところで、【ダンレムの糸】を発動する。
「……よし、撃てるね」
弓の持ち手の箇所を見て既に矢を撃てることを確認した俺は、再び発射の体勢に入る。
十メートルほど先に数体ずつ積んだ魔物の死体が一直線に並べてあるが、上手く一発で処理出来るか……。
「…………せーーのっ!!」
慎重に狙いを付けて、さらにそれ以上に矢の威力に振り回されないようにするために、尻尾と【浮き玉】の位置にも気を付けて弦を絞っていく。
ゴゴゴゴ……と唸りを上げながら矢に力が溜められていくのを感じる。
それに合わせて地面に接地している弓本体や、突き刺している尻尾にも振動が伝わっていくのがわかった。
「木に巻き付けるよりもずっと狙いが付けにくいね。【蛇の尾】を手に入れる前はもっと大変だったけど……楽に慣れちゃってたかな?」
【蛇の尾】を入手する前のことを思い出すと、威力に振り回されて掃射していた光景しか思い浮かばない。
アレはアレで纏めて広範囲を吹き飛ばせていたし悪くはなかったんだが、今回のようにある程度精密なコントロールを必要とする場合には向いていない。
「まぁ……この一発で決めるのが理想だけど、次がもう撃てないってわけじゃないしね。気楽に撃ちますか」
どうしたってこう構えているだけでも弓全体がブレてしまうし、あんまり狙い過ぎても仕方がない。
大きく息を吐くと、改めて狙いをつける。
弓本体がガタガタと揺れているが……いい感じの位置に来たところで。
「ほっ!!」
矢を放った。
相変わらずの矢の威力に俺ごと振り回されるが、地面に突き刺した尻尾と【浮き玉】で無理矢理体勢を戻すと、弓から延びている光の帯が真っ直ぐになるように何とかコントロールしていく。
固定される位置が横じゃなくて縦だからなのか、一発目よりもずっと大きく振り回されているが……意外と射線をまだキープ出来ている。
「ぬぬぬ……!? これなら三発目は必要ないかなっ!?」
眩しくてはっきりとは見えないが、この手応えなら……?
そんなことを考えつつも、矢のエネルギーが尽きるまで必死に暴れる弓を抑え込んでいた。
◇
無事矢を撃ち終えた俺は、大きく息を吐きながら視線を前に向けている。
一発目と同様に矢を撃った場所が凄いことになっている。
まぁ……北と南と、撃つ位置を入れ替えただけで着弾先はほとんど同じだし、既に一発撃って地面を荒らした後だから舞い上がる土砂の量もずっと多い。
「これは何にも見えないね……今から上に……おや?」
また森の上に出ようかなと思っていると、ふと右手が何かを握っている。
「……戦闘終了か。今の一発で上手いことやれたみたいだね」
右手の中にあったのは聖貨だ。
小型の妖魔種程度ではあるが、俺からしたら一の森だろうと西側だろうとダンジョンだろうと、生身で勝つのは難しい相手だし強さって点では聖貨を得られる相手としてはおかしくない。
ただ、タイミングが戦闘が終わって死体を全部処理してから……ってのがな。
相変わらずこの世界の仕組みがわからない。
「まぁ……ゲット出来たんだしそんなどうでもいいことに文句を言うのは贅沢だね」
教会にも神にもいい思い出はないが、それでも女神さまには感謝しておこう。
土煙で何も見えないが、魔物の死体を積んでいた場所に向かって手を合わせたところで、俺は周囲の様子を確認するために上空に再び上がった。
「ふーむむむ? 森の上の方にまで土煙が舞ってるか。これはもっと遠くまで広がっちゃうかな?」
流石に木より上までくるようなことはないが、最初の一発で地面が荒れた上に木も相当へし折ったから、土煙の拡散を遮るものが減っている。
同じ場所に二発撃ち込んだのはまずかったかもしれない。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・1枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




