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「ほっ! ……っと、これでも向かって来るか」
向かって来る獣を見て、一先ず威嚇代わりに恩恵品をアレコレ発動してみたが……速度は全く落ちていない。
ヘビたちだっているし、この状態の俺なら下手な魔境の魔物よりも力はあるはずなんだが、躊躇う様子はないか。
俺を脅威だと思わないのか……それともただ鈍いだけなのか。
「そういえば、領都の西側の魔物って夜街道を飛んでいる時とかずっと追いかけてきたりするよね……。ってことはただ単に鈍いだけなのかな?」
一の森の魔物は強力なボスがいる群れに組み込まれていると、小型の妖魔種のように普段は逃げる弱い魔物でも突っ込んで来るが、こっちはそうじゃない場合が多い。
今回はそういう個体なんだろう。
「まぁ……ただの獣みたいだしね。んじゃ、一気にやるか!」
ただの獣の群れで俺をどうにか出来るとは思えないし、別に無視したところで問題はないんだが……それで森の中を騒がせてしまうのもなんだしな。
調査に専念するためにも、さっさと始末するか。
「よいしょっ!」
俺は通常の光量の照明の魔法を頭上に伸びている枝に放つと、薄暗かった辺りが照らされる。
「来たねっ!」
薄暗い中でははっきりとは姿がわからなかったオオカミたちだが、その光の範囲に入ったことで姿がわかる。
黒に近い茶色のオオカミたちで数は六頭。
サイズは通常のオオカミと同じくらいだし……ザコだな!
「ほっ! ……っと?」
手始めに、飛びかかって来ようとした先頭の一体を尻尾で打ち付けた。
一の森のオオカミだと正面から振り抜くと躱したりするんだが……ここら辺のただのオオカミだとそこまで勘が鋭くないようで、見事に直撃してしまい俺の方が驚いてしまった。
足止め程度のつもりの一撃だったんだけどな……と一瞬動きを止めてしまったが……すぐに次の行動に移った。
「よいしょっ!」
尻尾の一撃を食らって地面に転がっているオオカミ目がけて蹴りを放った。
体勢が悪いこともあって躱すことは出来ずにその蹴りは直撃したんだが……オオカミの体だけじゃなくて地面も一気に弾け飛んだ。
泥が辺り一面に飛び跳ねて、残りのオオカミたちももろに被ってしまった。
偶然ではあるが、丁度いい足止めだ。
「はぁっ!!」
その隙を逃さず、すかさず【影の剣】で斬りかかり……あっという間に全滅させた。
◇
「よいしょっと……さて、どうしたもんかね」
仕留めた六体分のオオカミの死体を一ヵ所に纏めたんだが、その山を前に俺は悩んでいる。
襲ってきたんだし倒したこと自体は問題無いんだが、これをどうやって処理するかだよな。
燃焼玉はまだ余裕があるし使ってもいいが……死体が燃え尽きるまで早くても二十分はかかるだろう。
それくらいなら別に待ってもいいんだが、向こう側に比べると生物の数が多いこちら側でそんなことを悠長にやっているとキリが無くなるはずだ。
矢で跡形もなく消し飛ばす……って方法があるにはあるが、アレはアレで派手過ぎる一撃だしな。
あまり積極的に狩りが行われていないこちら側でやるには、刺激が強すぎるかもしれない。
となると……。
「やっぱこれか」
折角集めた山から一体死体を引っ張り出しながら、北に顔を向けた。
◇
死体をあの場に残すわけにもいかないし、かといって焼くには時間がかかり過ぎるってことで、森の奥に向かって蹴り飛ばした。
ちょっと乱暴ではあるが、先日の南の森で西の草原に向かって放り投げた方法と似たようなものだ。
「北の方には明日以降行くし……まぁ、問題無いよね」
威力はほとんど固定みたいなもんだから距離は同じになるだろうが、適当に散らばして蹴とばしたし一ヵ所に纏まって落ちることはない。
雨季が明けて人が外に出るようになったし、魔物を刺激しかねない方法は避けた方がいいが……この辺は狩りに来ることはないだろうし大丈夫だろう。
俺はしばらくその場で耳を澄ましていたが、北側で騒ぎが起きていないことを確認すると移動を再開した。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




