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TS銀髪ロリでフロアボスらしいけど自由に生きたっていいよな?  作者: 畑渚


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第41話 決意

 アステリア学園の校舎に到着したと同時に、校舎から「大変っす~~!」と声が聞こえる。

 急いで駆け寄り、扉を開け放つ。


「おい紬ちゃん!」


「セナちゃんちょうど良かったっす!これ見るっす!」


 そういって画面を見せてくる。


 そこには、俺と瓜二つの、しかし緋い瞳をしたネネが、俺のアカウントを使って生配信で宣戦布告をしているところだった。


「まずいっす、ほんとにまずいっすよ」


「ああ」


 俺の知名度は、学外対抗戦のおかげで昔とは比べ物にならないくらい上がってしまっている。そしてそのランク5と渡り合う強さもだ。


 そんな人物が日本に向けて、モンスターを解き放つと言っているのだ。


 この後どうなるかなぞ、火を見るより明らかだ。


 ジリリリリン


 校舎の固定電話が鳴り響く。

 

 チン


「もしもし、アステリア学園ですが」


 怒鳴り声が、電話をとった莉子会長どころか、俺の方にまで響き渡る。


「……」


 チン


 莉子会長は無言でその電話を置いた。しかし……


 ジリリリリン


「だめですね」


 莉子会長はそういうと、しゃがみこんだ。


「おい、大丈夫か?」


「えいっ」


 莉子会長はそういって、小さな線を抜いた。電話線だ。


「セナさん、一つ聞かせてください」


「お、おう」


「信じて、良いんですよね」


 俺はつい、返答につまってしまった。

 この信じるというのは、アステリア学園の、ひいては日本の未来を託すという意味に違いなかったからだ。


「ああ、信じてくれ。俺は人間の味方だ」


「安心しました」


 そういって莉子会長は腰に下げた刀から手を外した。


「しかし困りましたね。いまや国賊扱いですよセナさん」


「ネットもすごいことになってるっす。あ、見ないことをおすすめするっすよ」


 そりゃそうだろうな。

 ネットは良くも悪くも本音に近い声が出る。そんな環境が今の俺に向ける声なぞ、見ないでもわかる。


「莉子会長、俺、どうすればいいかな」


「私にもわかりませんよ」


 そういいながら莉子会長はスマホを操作した。


「だから、わかる人を呼びました」


「わかる人?」


 それは、人類最強にして、絶対的な人類の味方。


「呼んだかい?」


「皇か!」


「やあセナちゃん。ちょうど君に用があったんだよ」


「まて皇!あれは俺じゃねえ」


「見て確信したよ。安心したといってもいい」


「ほっ、良かった」


 ここで皇と戦闘になっているようでは、この先不安しかないからな。


「牙門くんにも感謝するといい」


「やつに?」


「この混乱の火消しに回ってくれている。彼は配信を見ただけで君とアレが別物だと気づいたらしい」


 さすがだな。いちど拳を交えたやつだからこそ、気付けることでもあったのだろうか。


「今度会ったときに礼を言っとくよ」


「ふむ、それで、だ」


 皇は剣を抜く素振りを見せなかった。

 しかし、ぴりりと空気が重くなったのを感じる。これが現状最強のプレッシャーか。


「セナちゃん、君は何者なんだい?」


「仕方ねえ。最初から話すよ」


 俺は静かに語り始めた。

 死んだあの日、目覚めた日。紬ちゃんやアステリア学園との出会い。


 そしてダンジョンでの奥のこと。ナナセや亜季ちゃんの存在。


 そのどれもを噛みしめるかのように、皇は静かに聞き入ってくれた。


「俺が知ってるのはこれくらいだ」


「そうか、ダンジョンが死体を……」


「俺が間に合っていれば……」


 亜季ちゃんとナナセの結末も伝えた。皇も莉子会長も、少なからず動揺していたが、ぐっとこらえていた。今は喪に服す時ではない。そう確かめるかのように、2人で目を合わせて覚悟を決めていた。


「後悔するのは後だ。これからのことを話そう」


 皇はそう言って莉子会長に目配せした。


「小春ちゃんからこれを預かっています」


 そういって、コンパスのようなデバイスを渡す。


「これは、門のような空間の歪みを測定するデバイスときいています」


 俺は思わず小春ちゃんを思い浮かべる。想像の中での小春ちゃんは無言でぐっと親指を突き出して見せた。

 もしかしなくても、ダンジョン側が門の創造を自由にできると知ってからすぐに、この事態を予知して作っていたというのか?


「あとは、戦う者たちの招集ですが」


「うん、任せてほしい。探索者協会にはすでに掛け合ってある」


 ずいぶん準備がいいな。まるでこの事態を……


 いや、よく考えたら、この事態を想定していなかった俺が平和ボケしていたってことか。

 ダンジョンなんて不安定で未知の存在に対して、警戒して体勢を敷くのは当たり前のことだ。


「で、俺は何をすればいい?」


「セナちゃんは遊撃に加わってほしい」


「遊撃?」


「ああ、一番重要な役割だ」


「いいのか?俺をそんな大事なところに」


「君の戦闘力はランク5に匹敵する」


 皇は俺の肩に手を置く。


「現状のランク5だけでは手が足りない。君を頼りにさせてくれるかい」


「もちろんだ。何が来ても蹴散らしてやる」


「じゃあコレを渡しておくね」


 スマホを手渡される。頑強なケースに入っており、既存の機種のどれにも当たらない。


「特別製のスマホさ。当日はこれで連絡を取り合う。持っていてほしい」


「ああ、わかった」


 手渡されたスマホをいじって、素早く初期設定を終える。

 連絡手段を手に入れた。これで動きやすくなる。


「……待ってくれ、この連絡帳の数」


「探索者全員の連絡先が入ってる。間違えてかけないようにね」


「ひえっ」


 そんなセキュリティもへったくれもないことあるか!?


「大丈夫。そのスマホは本人以外の操作を受け付けないから」


「そんな貴重なもんいいのか俺なんかに」


「君だからだよ」


 皇はふふふと軽く笑ってみせた。


「君は目覚めてから今まで、人を助けるために動き続けてきた。それを今は信用する」


「……わかった。その信用を裏切らねえ」


「じゃあ頼んだよ」


 そう言って皇は飛び出るように学園を去っていった。きっとまだいろいろな調整が必要なのだろう。

 あれが、人類を背負う英雄の後ろ姿だ。


「セナさん」


「莉子会長……」


「いまはとやかく言うタイミングではありません。この緊急事態に対応して動きましょう」


 まったく、強い子だ。


 俺も改めて、覚悟を決める。


「ああ、絶対に守りきってみせる」


 拳を握りしめ、そう固く決意した。


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