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秋の夜話  作者: ふりまじん
前略剛様

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16/18

面白さとレッテルと


剛、私は元気で頑張ってるよ。

最近はいろんな事があるんだ。アンタが生きていた頃も、女児とおじさんが並んでいたら心配されるけれど、今は持って大変だよ。

そして、何にでもレッテルがついてしまう。


私はアンタの面白話を書きたいと思っていた。でも、いつも心配だったわ。

私、女児を見るのが好きなアンタのことを揶揄っていたけれど、その話はアンタが生きているうちは書けないなって思っていた。

小説って、自分がデフォルメしなくても投稿したところから面白おかしい話が追加されてゆくもの。

それを調整するのはすごく難しいんだ。

私たちには普通の事で、現実にいた人も気にしてなかったとしても、私が小説としてアンタを女児をガン見するような表現をしたら、きっと、変質者だって思われちゃうもの。


人は、その時代の潜在的な雰囲気で判断してしまうから、私たちがフリマをしていた、一昔前の世界観ではみてはくれないわ。

確かに、アンタは女児を見ていたわ。でも、それはただ、小さな子供を慈しむような、得られなかった幸せを思うような、そんな感覚だったよね。

それはわかっている。分かっている上で、揶揄っていたんだから。

まあ、ちょっぴり心配はしなかったとは、言い切れなかったけれど。

でも、アンタは変に常識的な人間だったもんね。

男だから青が好きで、恋をするなら大人の女性。そんな認識だったもん。


でも、それを説明したら話が面白くないし、現代の世界でアンタを書く、スキルは私にはないわ。


本当はいつも、自己肯定力が低いアンタに、アンタのエピソードで好感を持ってもらいたかったわ。

で、いろんな本を読んだりもした。初めの頃は、ね。


でも、アンタは死んでしまったし、私は新しい目標を決めて未完と向き合っているわ。


今は、ネットでいろんな情報が入ってくるんだ。

昔、あんた、私に『ネットサーフィンって知ってる?』と聞いた事があったわね?

正直、みんなをドン引きさせていたわ。まあ、私はあんまりパソコンとかを使ってなかったからね。

あの頃、あの頃だって、流行りってわけではなかったネットサーフィン。今じゃ、死語になっていると思うわ。


最近はなんでも、レッテルが貼られるんだ。

奇妙な行動には大概、名前がある。

アンタは私の食べ物を狙っていたけれど、半分にしても、まだ狙ってくるアンタみたいなのを『食べ尽くし系』とか言うらしいよ。

まあ、アンタの場合は、少し違いけれど。

いつも金がないから、みんなが気にしてポテトとか、たくさん頼むんだよね。

まあ、そんな話を書いても、それはそれで言われるんだと思う。

私も、なんか書かれるんだと思う。なんか、今風のレッテルを。


それは少し寂しいけれど、小説を書いてるんだからしょうがないとは思ってる。私の分は、ね。

でも、アンタが何か言われるのは少し嫌だな。

特に、性犯罪者みたいに思われるのは嫌だわ。結構、行動は怪しかったけれど。

1時間かけてショッピングモールに行った時、田舎にはないアイスの専門店で女子高生をガン見していてびっくりしたわ。で、思わす私が『何みてるの!』って叫んだら、アンタ、間抜けた顔で

「あの、オレンジのアイス、うまそうだね」

と、言った時は呆れたわ。初めは、言い訳だって思っていた。でも、アンタ、マジでアイスを見ていたんだよね。その店でアイスを買って、ついていたメニュー表を嬉しそうにもらってさ、そして、全品、名前を覚えていたもんね。

びっくりしたわ。当時でも、既にご当地アイドルの名前も覚えられなったもん。私。

アンタは、いつもは覚えが悪いのに、あの、長ったらしいアイスの名前と色や形を熱心に教えてくれたわね。すごい数なのに。


こんな話も、もう、笑い話にはならないのかもしれない。

漫画のような酷い事件も、今はあるんだ。そして、ネットが教えてくれるんだ。

だから、もう、我々の物語は笑い話になるのか、私にはわからない。


少し、切なくなるわ。


でも、たまにはアンタと会いたいと思うから、こうして、また小説を書きにくると思うわ。

じゃあね。

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