異世界に転生したら
剛、私はなんとか頑張っているよ。
結局、凄い小説どころか、完結も大変なんだけれど。
まだ、人気ジャンルには行けてないわ。金になりそうだって私、あんたに話したわね。
そして、剛、あんたに異世界転生しろとか無茶振りしたわ。
あの頃は、ただ、名古屋にゆくことばかり考えていたわね。そして、なんとか小銭を稼ごうと必死だったよ。
あんたはすぐに諦めていたけれど、でも、異世界に転生しろって言われた時は本当に、鳩が豆鉄砲を喰らった顔をしていたわ。クマみたいな図体で。
まさか、本当に逝ってしまうなんて、ね。
私、これでも結構、後悔したんだよ。なんであんなバカのこと考えちゃったんだろうって。
あんたは、ファミレスのいつもの場所で、私にフリードリンクを奢られながら窓から牛丼屋の看板をぼやっと見ていたわね。
そして、よくわからない異世界に放られたら、って私の変な質問を、何度も聞きながらボンヤリ考えていたわね。
農家のスローライフは嫌だって言っていたわね。農家は大変だから嫌だって。
で、畑を手伝えと言ったら不貞腐れたわね。
玉ねぎをもらっていたんだから、少しは手伝えば良いのに。
それはともかく、異世界にいきなり転生したら、面倒臭いって言っていたわね。
そして、私の話を聞きながら、昔の暮らしなんてしたくないって言っていたわね。
ゲームなんてしないアンタは、中世ヨーロッパ風味の異世界は不便で面倒なところでしかなかったわね。
可愛い女の子は面倒臭いというし、アイスがないから嫌だって言ったわね。
ラーメンもアイスも、ハンバーガーもない世界なんて、アンタには辛いだけだよね。
それでも、私はいつか、アンタの異世界の物語を書きたいと思っている。
いいって言って、アイス食べたんだから、書くからね。
そして、私はアンタにコーヒーをご馳走になるんだから。




