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秋の夜話  作者: ふりまじん
前略剛様

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14/18

春が来るよ


剛、あの世で楽しくしてる?

私は、まあ、元気にやってるよ。春がまた来るよ。私はまだ、小説を書いてるよ。

完結できないから、もう少し頑張ってみる。


春はあんたが亡くなった季節だから、なんだか少し寂しいわ。

でも、最近、気がついた事があるんだ。

こうして、あんたの話を書いてると、私、まるであんたが好きだったみたいに見えるってこと。

確かに、私はあんたが好きだったけれど、人間というか、動物というか、まあ、恋愛ではないわ。

あんただって、私に恋心を向けられてもふ君に思うだけだしね。


小説って、書いてはいけなそうなところは抜こうとするから、なんだかそんなふうに見えるんだね。


思えば、小説の話をアンタはよく聞いてくれたよね。まあ、アンタの間抜けなエピソードを書くんだから確認は必要だったしね。あら、私、わりと気にしてたんだよ。


そして、お金もそうだけれど、作品で人気が出たら、何か、アンタが仕事ができたらいいのにった思った。ほら、キャラクターで人気になれば飲食店とかを始めると人気が出るじゃない?コラボカフェみたいに???

私は農家でフレンチレストランとかできないかな、なんて考えていたよ。でも、アンタは本気で農業を嫌っていたよね。今考えたら、小説じゃなくて、農業系の動画サイトとかの方が儲かったかもしれないね。


ともかく、私は今での小説を書いている。アンタが私にエピソードを書く許可をくれたから。そして、私の借りを倍返しにするって言ったから、私は倍返しを目指して頑張ってみるわ。


春。春の思い出はたくさんあるね。

大概は、フリマの話。春が来ると、フリマの準備を始めるんだから。

当時は、アンタはハンバーガー屋さんにも1人でいけなかったわね。子供のような心細い感情ではなく、悪魔が教会を怖がるような、なんか、洒落た感じにビビっていたわ。

そして、季節限定のハンバーガーの話をすると、アンタは車を出してくれたね。

私はみんなでどこかに行きたくてアンタをいつも誘惑していたわ。


私、生涯で1番誘惑したのはアンタだと思う。アンタは食い物の話をうっとりと聞いていたわね。

私はその度に、いろんな食べ物のレビューが上手くなったわ。

牛丼とハンバーガー。アンタ、いつもハンバーグって言うから、私は少女時代に見聞きした物語の魔王を思い出してしまったわ。

春の予感と新しい商品に浮かれた時代が懐かしいわ。


アンタはファーストフードも好きだったけれど、お酒も好きだったね。

何度か、ワイナリーにいった事があったわね。今、考えると、結構、思い切ったけれど、あの時は私がワインの試飲をして、帰りはアンタが運転する予定だったわよね?

その為に、私、フライドチキンを買ってガソリン代まで出したのに、私が試食に行く頃には不貞腐れたいたわね。笑っちゃうわよ。

まあ、私も知らん顔して試飲にいっちゃったけれど。帰ってくる頃にはチキンの入ったバケツを抱えてぼんやりしていたわね。

なんだか懐かしいわ。私はそこで桃のワインを遥香さんと飲んだんだわ。すごく楽しかったな。


アンタは不貞腐れていたけれど、でも、ワインの小瓶で機嫌を直して笑っていたわね。そして、帰り道をナビ通りに道を選ばないで山奥に入り込んで私に文句を言われたのよね。

アンタって、どうしてナビの言うこと聞かないの?

と、言うか、アンタの世代ってナビ嫌いよね?太陽の場所を見ながら、なんとなく方角を予想してドライブするとか、現代人には想像つかないかもね。


春が来ると、そんな事を思い出すわ。アンタとの思い出なんて、思うよりも少ないはずなのに、こうして連載を続けていられるんだから、なんだか笑っちゃうわ。




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