表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秋の夜話  作者: ふりまじん
前略剛様

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/18

名古屋


アンタは変な奴で、私はやっぱり上手くアンタを描くことは出来ないみたいだよ。

でも、私は本当にアンタの話でイケるって思っていたよ。

何にしても、アンタの名古屋ボヤキは本当に凄かったもの。初めはバカにしていた私が、アンタが死んだ今でもこうして喚いているんだから。


勝算はあると思ったんだ。

アンタのボヤキは独特だったから。城もエビフライも眼中になくて、モーニングと味噌おでんと、味噌カツに特化した喚きだったもの。

当時、名古屋は観光の特徴をどうつけようかと悩んでいるようだったから、名古屋を連呼していたら、しかも、若者に人気の小説サイトで連呼したら、きっと気がついてくれて、そして、応援して貰えるって、そんな事を考えていたんだ。


何にしても、アンタの目の付け所は普通と違っていたんだもの。

初めはオーディオ。

次はモーニングに味噌おでん。

そして、テレビで見たって言いながら、味噌屋の見学にも行きたがったよね?

何がアンタを名古屋の味噌にそこまで執着させるのか、私も気になってきたものだよ。

しかも、良い年になっても、プライベートで県外の旅行に友達と言ったことが無いっていうんだもん。

良いおっさんが、生涯、最初で最後の友達との旅行。その記念すべき場所を、ハワイでも、京都でも、北海道や沖縄でもなく、名古屋。名古屋なのである。少しは話題になると思った。


そして、味噌。

何で味噌???


あーあ 面白かったわ。

しかも、貧乏で、お金もないのである。

旅費は2万円。初めの予定は10万円くらいだったけれど、もう、最後はネタだったわ。2万円ではどうにもならないって思ったもの。

遥香さんが車でゆくから連れて行ってくれるって諦めるように行って、私は2万円をこっそりと貯めていた。ああ、初めは小説で5万円くらいは稼げるって思ったんだれどなぁ。世の中は甘くなかったよ。


アンタはファミレスで夢を語っていたね。

良い歳のおっさんが2万円でどう旅行するのか。まあ、当時はそんな深夜番組あったよね?

先払いの2万円は帰りの交通費で無くなるとして、モーニングの五百円は奢らないぞと、そういった気がした。

深夜に移動して、朝に落ち合ってそこでモーニングに行って、ちょっと、街を見て、深夜に高速バスを使って帰る。これぐらいで終わりだと思っていた。


でも、アンタは泊まりたいっていったよね?2万円は自分で用意して、高速バスはもう少しやすいとか言って。私はアンタにヘソクリの事は言わなかった。

「嫌だよ。名古屋に折角、行くんだから、泊まるんだ。」

と、言ったアンタにみんなで文句を言ったよね?私は少し諦めたように、そして、一度やってみたかった漫画喫茶で夜明かしをしたくてそれに誘ったわね。

「仕方ないな。じゃ、私と漫画喫茶に泊まる?漫画喫茶なら数千円で泊まれると思うからそれぐらいなら出してあげてもいいわ。」

私は1人で漫画喫茶に泊まるのは少し不安だったから、恩着せがましくも少し、漫喫に夢を見ながら言ってみた。けれど、アンタはそれを断ったわね。

「金がもったいないよ。もっと、安いところがあるよ。2000円も出せば泊まれるところはあるんだ。」

と、言われた時は私と遥香さんは同時に検索したわ。そして、遥香さんが諦めたように

「カプセルホテルでも4000円はするみたいよ。」

と、言った時は私が驚いたわ。私は大昔、多分、都内のどこかでもう少し安い金額の看板をみた気がしたからだ。ああ、物価高だなって思った。そして、カプセルホテルが豪華になってるのに驚いた。

「カプセルホテル?そんなの嫌だよ。あるよ。2000円で泊まれるところ。」

と、剛が言った時には一斉にふざけるなって言ったわ。でも、本当に、そんな宿場があって、驚いた事を今でも覚えている。


アンタの目から見える名古屋は、きっと、名古屋人もびっくりの名古屋ではないかって、そう思えたよ。

そして、なんだかディープでワクワクしたのを覚えてる。


あれから、いろんなことがあって、インバウンドと物価高でどこも値上がりだよ。

アンタの夢の旅行は、もう、叶わないし、私1人では、あんなユニークな旅行を作り出せはしないわ。

本当に、いつも、最後までやらないで、私に尻拭いさせるんだから。

でも、仕方ないから、ちゃんとやり遂げるわよ。ついでに、アンタがあの世で羨ましがるような美味いものをたらふく食べてくるんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ