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秋の夜話  作者: ふりまじん
前略剛様

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3点セット


私は剛、アンタに色んな負い目を感じて生きている。

負い目、というか、惜しいとでも言うのだろうか。そんな気持ちを抱えて生きている。

その中でも、ビーズのネックレス、ブレスレット、指輪の3点セットの思い出は何かの拍子に思い出す思い出だよ。


フリマで売るものがなかったアンタは、フリマで儲けた金を使ってビーズを仕入れて作品を作ることにしたんだよね。

まあ、初めは私が成功したからなんだけれど。


当時は手作りも売れるカオスな世界だったし、不用品にはいらなくなったネックレスや壊れた装飾品なんかもあったからね。

その中には、クリスタルグラスとか、なんだかいい感じのデザインのビーズや真珠があったから、子供の装飾品を作るにはいい感じだったんだよね。

そのままだったら捨てられるそれらが、新たに作られて子供たちに夢を見せるのは、みていて楽しかったね。


で、アンタは意外にビーズに夢中になったわね。

私もあれにはびっくりしたわ。

元々、数字とかが好きだったから、あっていたのかもしれないけれど。

で、みんながベタ褒めするから、アンタは調子に乗って、色んな本を図書館で調べたり、ネットをサフィンしたり頑張っていたね。


そして、私の誕生日にあの3点セットをくれた時は、本当にびっくりしたわ。

細かい作業が嫌いなアンタが、コツコツと作った綺麗なネックレスとブレスレットと指輪。

本当に綺麗だった。

でも、同時に絶句もした。


だって、大きな丸いクリスタルビーズに小ビーズの花びらをあしらった、花のネックレス。

オーロラクリスタルで作られた輪の真ん中にチェリーピンクのビーズ玉が輝く指輪。

竹ビーズの四角の中にキラキラの飾りの入ったブレスレット。

こんなもん、どうしろって思ったんだもん。


私、それをみた時、思ったの。

ああ、装飾品にはつけられる年頃があるんだなってね。

アンタのデザインは、どう頑張っても10代の少女がつけるデザインなんだから。


でも、それをアンタに言うのは癪に障ったのよ。

だって、私、自分で自分がアンタが考えるよりババァだなんて、死んでも言いたくなかったんだから。

そして、万が一、本当に、この、きらやかな3点セットを似合うと思って作ってくれたんだとしたら、

とても、自分が歳をとって身につかれれない、なんて言えないじゃないの。


で、私、思わず、ベタ褒めしてからフリマで売ろうって言ったんだわ。

アンタは、複雑な顔をしていたわね。

でも、あれは、一歩間違うと、壮大な嫌味にも見えるんだからね。


当時は、まだ、携帯にカメラが付いてなくて、写真に撮らなかったのが残念だったわ。


アンタは、複雑な顔をしていたけれど、フリマで可愛い女児に凄く喜ばれて売れて、そして、売り上げでハンバーガーが食べられた事に喜んでいたわ。

私は、今でも、あの決断は間違ってはいないと思っている。だって、今、持っていても、私はこれから元ものを処分しなくてはいけないから、誰にもつけられずに捨てられる事になったに違いないもの。

どこかの女児の夢になって、飾られる方があの3点セットにも良かったんだと思っているわ。


でも、写真くらいは残しておきたかったって、今でも思うわ。

花びらいつに32個のビーズ。今でもそれを覚えているわ。

あれから、私にビーズの飾りを作ってはくれなくなったけれど。でも、アンタからもらった丸ペンチはちゃんと仕舞ってあるよ。

ビーズ。また、作りたいな。


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