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腹黒聖女の仰せのままに〜追放された聖女と呪われし英雄の復讐譚〜  作者: 八映たすく
第七章

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澱んだ光


 暗くて、静かで、寒くて、寂しい。


 こんこんとたまに聞こえてくる音は、眠たい私の目を覚まして、また遠くへ消えていく。


 いっそこのまま眠れてしまえれば、そう考えると同時に、私はそれを拒絶する。


 一度寝てしまえば、きっとまたとても嫌な夢を見るから。


 私はもう何も見たいくないから、出来るだけたくさん起きている。


 そんな薄暗い檻の中で、私は与えられた食事に貪りつく。


 質素で小さなパンが一つと、コップ一杯のお水。


 美味しくないし、多くもない。


 けど、食べなきゃ死んじゃうから、我慢して無理矢理お腹に入れる。


 乾いたパンを喉に詰め込んで、お水で流し込む。



「⋯⋯お腹空いたな。」



 すぐになくなったパン、私の手には、一口分のお水だけが残る。


 水面に映る私の目が黄色っぽく光る。


 それを眺めて、私は小さくため息をつく。


 こんな眼《もの》があるから、私はこんな事になってるのかな?


 それとも、こんな眼《もの》があるから、私は生きていられるのかな?



 こんな状態で生きてて、私は幸せなのかな?



 そんな思いと一緒に、残った水を飲み干して檻の外へと器を返す。



「囚人番号502番、出ろ。」



 心臓が、少し跳ねた。


 久しぶりに人の声を聞いた気がする。



「⋯⋯⋯⋯。」



 牢屋の鍵が開けられて、扉が開かれる。


 これは、出ていいのかな?


 私が動けずにいると、看守の人は小さく舌打ちをして首を動かす。



「お前の眼を見たい奴がいるそうだ。」



 面倒くさそうに言うその人の言葉に、私は首を縦に振って外に出る。



「⋯⋯はい。」



 冷たい手錠がかけられて、それを紐で引っ張られる。


 ここに来て何度も繰り返された面会。


 乱暴に引っ張られるのももう慣れたけど、あざになった手にそれが当たるとすごく痛い。



「全く、能力《ちから》すら宿ってないこんなガキの眼に、何の価値があるんだか。」



 意味もなく私の背中を蹴る男の人の声が、少しだけ大きくなる。



「⋯⋯⋯⋯。」



 私は怒らせないようにじっと我慢して歩き始める。



「⋯⋯誰か、助けてくれないかな。」



 そんな言葉を、私は、私を助けてくれなかった神様以外の誰かに呟く。


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