山
文章がうまくまとまらないままホラーで出してみました。
今回は割りと本気でこわいです。
私には姉がいる。二歳上と四歳上の二人だ。
四歳上の姉はすでに嫁いでいるので、私が『姉』と呼ぶのは二歳上の姉のほうである。
今回は、夏らしく怖い話をしようと思う。
それは、姉と私でとある名所に行った時の話だ。
初夏ごろだったろうか。さわやかな風と緑の匂い漂う山に遊びに来た私と姉は向かう途中、とある自殺の名所の近くに差し掛かった。
そしてそのあたりで、私の体が急に身動き取れなくなり、少しでも動けば、運転する姉の手を奪い取ってしまいそうで、必死に力を入れる羽目になった。
当然、先ほどまで話していた私が黙ったので姉が不審に思い、信号待ちのときに『どうしたの?』と聞いたので、私が体中に『それ』等が引っ付いて大変なのだといえば、普段無害だと知る姉も、見た瞬間、顔が引きつった。
ついでにそのときの私には、少なくとも10か20は『それ』等が引っ張り続けており、そのすべてが、たとえば会社でいじめによる苦しみで、あるいは借金苦で、はたまた仲間の裏切りによる絶望でと、理由はあれど『それ』等はただひたすら苦しみの連鎖にとらわれ、救いを求めては仲間を増やそうとしているのだった。
特に、私がもっとも恐ろしくなったのは、姉の足元にいた男性の顔である。恐ろしいほどくっきりとした『それ』の顔は青く白く、涙を流しながら助けてと手を伸ばし、しかしこの絶望を知ってほしいとわずかな歓喜と怨念でそこにいた。
『それ』は少しでも油断したなら、運転していた姉の足をアクセルに固定し、急カーブから転落させようとしているのだ。
当然、私も姉も『見える』だけで何の力も無い。
ただひたすら、生き物の気配のしない、死肉をむさぼる動物と死の匂いしかしない山から遠ざかろうと必死になって目線を固定していた。
山から下りて遠ざかるごとに『それ』等の気配は徐々に薄くなってやがて消えたが、私も姉も当然、別ルートで帰ることにしたのだった。
後日、姉と、姉の彼氏(運転手)と私の3人で別の遊園地に遊びに行き、帰りの車の中で、私と姉はぐっすり眠っていて覚えていないのだが、姉の彼氏が道に迷いその辺りを通過したようだ。
家に帰った後、見る力も無い、私たちの話も半信半疑だった彼が青ざめた顔で『○○のあたり、運転しているとすんごい寒気がして怖かった。二人が寝ててよかったよ』と話していた。
無論、私たちはそのことを話していない。
けれどそれを聴いた瞬間、『それ』等が触ってきた箇所が、ずくりと痛んだ。
見捨てるな、というように。
読んでいただいてありがとうございました。




