ラジオ
今回は昔話です。一応ホラーです。短くてすいません。
姉は若いころ、随分とやんちゃだった。
幼いころから仕事人間だった留守ばっかりの父と、私たち三姉妹をほぼ一人で育ててくれた母が離婚するまで、我が家は常にぎすぎすし、幼心にも結構ひどい家庭だったように思う。
そんな中で私はひきこもり、四歳上の姉はさっさと留学、家を出て行き、二歳上の姉は、不良になった。
髪を金色に染めたりウイッグをつけたり、すごい化粧をしたり、何日も帰ってこなかったり、喧嘩したりとすさまじい反抗期っぷりに母の髪が半分細くなったぐらいだ。
さて、そんな姉は当時やっぱり似たような人たちとも知り合っていて、つるんでいたころの話だ。
姉と彼等は、当時怖いもの知らずだったという。
好きなように暴れ、喧嘩し、食べ、時には新聞紙とダンボールで生活したという彼等は、とある自殺の名所(前回とは違う場所)に遊び半分で行ったそうだ。
時刻は深夜に差し掛かるころだったそうで、ついた彼らは車を止めて降り、やはり何もないと馬鹿騒ぎしていたらしい。
しかし、そのうちの一人がふと気づいた。
「あれ、車のラジオついてる?」
その声に皆が車に目を向けると、鍵はついてもエンジンはかかっていない、つまり電源も入っていないはずのラジオから、確かに雑音が流れている。
そしてその雑音は、酷く聞き取りにくいが確かに何かの声が交じり合った音であり、それまで冗談交じりで騒いでいた彼等も、血の気が引いたそうだ。
恐ろしくなった彼等は車に飛び乗ってキーを回した。すると雑音は消えてエンジンが掛かり、そのままその場から走り去ったらしい。
数年後、すっかり大人の女性入りした姉から懐かしげにそんなことを言われ、出勤ルートの途中にあったその橋を変えたのは当然といえよう。
その場所は、私の家から10分もかかっていないような場所だったのだから。
よんでいただいてありがとうございました。




