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ゆず  作者: にく
春 - 主人公
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5/6

五.

 午後の授業。


 窓の外では、風に乗って桜の花びらが舞っていた。


 黒板を書き写しながら、ふと隣を見る。


 宮野は真面目にノートを書いている。


 ……いや。


 よく見ると、眠そうだ。


 ペンを持ったまま、少しずつ頭が下がっていく。


 そして。


 こくっ。


 また上がる。


 こくっ。


 また上がる。


 俺は思わず笑った。


 そのとき。


 宮野がこちらを見る。


 目が合う。


 一瞬驚いたあと、宮野は口元だけで笑った。


 俺も笑い返した。


 先生に見つからないように。


 ただ、それだけ。


 なのに。


 その瞬間、胸の奥がほんの少しだけ暖かくなった。


 理由は、まだ分からなかった。


 分からなくてもいいような気がした。

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